- 「中途コンサルが使えない」という話をよく耳にする
- コンサルに興味があるが、自分は使えるのだろうか?活躍できるのだろうか?
- 入社後に落ちこぼれてしまい、使えないレッテルを貼られてしまったらどうしよう……
コンサル転職を考えている方は、少なくとも1度は「中途のコンサルが使えない」という評判を耳にした事があるでしょう。使えないレッテルを貼られてしまうのは辛いですし、その後のキャリアもどうなるか不安ですよね。

私も新卒で外資系戦略コンサルに内定を貰ったはいいものの、入ってから使えない烙印を押されてしまったら…と不安でした。
使える・使えないの線引きは様々あると思いますが、顧客に価値提供できているか否か?という観点が重要です。
この観点だと、未経験中途コンサルは最初は使えない人が大半です。中途・新卒関係なく、未経験で最初から使えるほど、コンサルティングは簡単ではないともいえます。
そこでこの記事では、未経験中途コンサルが使えないと評される要因の解説や、「使えない」にまつわる疑問や不安への回答をします。これらを踏まえた上で「ではどうすべきか?」の1つの考えを示しています。
この記事を読めば、漠然とした不安な状態から、具体的に次のアクションを考えるヒントを得られるでしょう。
参考書籍や体験談も載せていますので、ぜひ最後までお読みください。
未経験の中途コンサルが「使えない」と評されてしまう3つの要因


未経験の中途コンサルが使えないと言われてしまうのは、大きく分けて次の3つの要因にあると考えています。
- コンサルへの要求の高まり
- 職位の期待値と実力のギャップの大きさ
- ギャップを埋めるための時間猶予の短さ
1つずつ解説していきます。
コンサルへの要求の高まり
1つ目は、顧客がコンサルに対し、以前よりも高いクオリティの結果を求めている点です。
コンサルに依頼されるテーマは、顧客が「自社で考えるよりも外部に依頼した方が良い」と考えているテーマです。単純にリソースが足りないから外注しているケースもありますが、基本は顧客自身だけでは難しい仕事だからこそ依頼されています。
まだコンサルの知名度が低い時代は、フレームワークやベストプラクティスなどが価値になっていました。しかし、現在は書店に行けば読み切れないほどのコンサル関連本があり、ネットでは無数の有益な情報が無料で得られる時代です。顧客側にも元コンサルがゴロゴロいます。
直近は特に生成AIの目覚ましい成長により、単なる知識だけでなく戦略そのものが、ものの数分で出てきてしまう時代です。コンサルに求めるクオリティが、かつてないほど急激に高まっている状況といえます。
10年前なら十分「使える」人でも、今だと「使えない」になることも。そんな状況にあることをまずはご認識ください。
職位の期待値とのギャップの大きさ
2つ目は、コンサル入社時の職位で求められる期待値と、自身の実力とのギャップが大きい点です。
コンサルに中途で入ろうと考える場合、基本的には年収アップを目指す方が多いでしょう。この場合、コンサルタントやマネージャーといった役職での採用が多くなります。これらの役職は、新卒組が3~5年程度で到達する職位です。
コンサルでは役職ごとに求めるスキルや行動規範が明確に定まっており、これらは新卒・中途関係なく一律です。
そのため、新卒組が入社してから数年かけて身につけていったコンサルならではのスキルを、中途組は一気に身につける必要が出てきます。
特にコンサルタントやマネージャーに求められるスキルや行動規範は非常に高く、これらを当たり前にできる人は多くはいません。
採用するコンサル側も、最初からできないことを分かった上で採用していますが、当然そのギャップを早めに埋められないと「使えない」となってしまいます。
ギャップを埋めるための猶予期間の短さ
3つ目は、職位の期待値と自身の実力のギャップを埋めて、期待値に達しなければならない猶予期間が短いという点です。
前述の通り、中途コンサルは入社時の職位次第では、新卒コンサルが数年間かけて磨いてきたスキルを一気に習得する必要があります。やらなければいけないことが一気に降ってくる状態です。
しかし、いつかできるようになればいい、というわけにはいきません。短いプロジェクトは1~3ヶ月という期間もあり、その短期間で成果を出すことを求められます。
加えて、コンサルタントやマネージャーの職位ごとにいられる上限の年数があります。もちろん杓子定規ではなく、近年は上限が緩められてきているとの声もありますが、「ずっとコンサル」というわけにはいきません。
限られた年数の中で、アサインされたプロジェクトをこなしながら、昇進後の職位でも活躍できる証明が必要になります。
やるべき事が膨大にあるにも関わらず、時間をかけられないというのが厳しい点です。
こんな中途コンサルは使える?使えない?


次に、コンサル転職に関心を持つ人からよく出てくる質問について回答したいと思います。
30代中途コンサルは使えない?
結論、年代は直接的には関係ないです。30代だから使えない・20代なら使えるという単純な図式はありません。
強いていえば、年齢が若ければ若いほどコンサルに入るときの職位が低くなり、期待値と実力のギャップが少なくなります。この場合、使えないと言われることは減るでしょう。
一方、30代だと前述の通り、高い役職で入ることも多く、そのギャップの大きさで「使えない」と言われてしまう可能性があり得ます。
しかし、これらは自分の実力と期待値との関係できまるため、「自分は30代だから…」と年齢だけで不安に思う必要はありません。いきなり高い役職が不安であれば、「1つ下のクラスで入る」という選択肢もアリです。
前職の業界次第では使えない?
年代同様、前職の経歴も使える・使えないには関係ないです。コンサルティング業界未経験であれば、大差がないと考えて良いでしょう。
コンサルの顧客企業は多種多様な業界・業種があります。少ないですが、公的機関・団体がクライアントになることも。そしてテーマも単なる市場調査だけもありますし、全社戦略策定や基幹システム刷新などの大規模なテーマまで様々です。
コンサルには顧客もテーマも多くのバリエーションのプロジェクトがあるので、中途採用の場合、自身の経歴を活かせるプロジェクトにアサインされる可能性が高いでしょう。
もちろんタイミング的に活かせるプロジェクトがないことや、本人が強く他のプロジェクトを希望すればその限りではないので、コンサルにて新たな専門性を身につけていくことも可能です。
顧客の現場を知らないと使えない?
顧客の現場は、可能な限り早く知ることをおすすめします。
もちろん未経験の業界・業種の顧客のプロジェクトにアサインされることもあるので、最初は何も知らないということは当然あります。しかし、そこで現場を知ろうとしなければ価値を発揮できず、「使えない」レッテルを貼られてしまうでしょう。
「コンサルなんて現場を知らない」と言われてしまわないための方法を別記事にて解説していますので、興味があればお読みください。
「使えない中途コンサル」となってしまったらどうなるか?


使えないと詰められるのか?
これは使える・使えない問わず、詰められます。
ひたすら「なぜ?」「だから何?」というロジックを確認されるイメージです。



論理的にぐうの音も出ないほど詰められますが、どれも納得感のある指摘ばかりで、悔しい気持ちが強かったのを覚えています。
ロジカルには詰められますが、この時に声を荒げたり人格否定したりする言動は、ほとんどないと言っていいでしょう。
コンサルとしてアウトプットが素晴らしくてもハラスメントをすれば一発で飛ばされます。コンプライアンスには厳しいので、ご安心ください。
使えないとクビになるのか?
結論、海外ドラマで見るような「明日からお前はクビだ!」のようなことはありません。
外資系コンサルであったとしても、日本の法人である以上、日本の労働法規に則る必要があります。
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
e-gov 法令検索_労働契約法第十六条(平成十九年法律第百二十八号)
使えないと評された場合、別のプロジェクトや部署にアサインされることは大いにあり得ます。
そこで成果が出なければ、プロジェクトにアサインされない期間が続き(いわゆるアベイラブル(アベる)です)、自主的に辞める、というのがあり得るパターンです。
使えない場合の離職率はどれくらいか?
基本的に各社使えない場合の離職率は公開していないです。
コンサルの場合、使えないと評されて辞めるパターンももちろんありますが、コンサル以外でやりたいことを見つけて辞めるポジティブなパターンも多いからです。



私の周囲は、起業や更なるキャリアアップのために、優秀な人ほど早く辞めるパターンも見られました。
離職率のデータにはポジティブな退職も多く含まれるので、離職率を知ることはあまり役に立たないと思われます。気にしない方が良いでしょう。
少しでも「使える」ために、今からできること


「使えない」と評されてしまうことは、未経験中途あればある程度は仕方ないです。
しかし、なるべくそのリスクを減らすために、「入社前」と「入社後」にできることがあります。
入社前:自分に合うファームを見つける
自分のこれまでの経歴やスキルに合うファームを、できるだけ見極めることが大事です。
コンサルファームは、戦略なら戦略、総合系なら総合系で、そのカテゴリーに属するファームは互いに似ています。コンサルタントが専門的かつポータブルなスキルを身につけていることからも想像できるでしょう。
しかし、そうは言ってもテーマの得意不得意や社内カルチャーの違いはあります。同じだと差別化できないので、各社工夫を凝らしています。
各社の特徴はインターネットや書籍でもある程度わかりますが、最新の正確な情報を知るには転職エージェントを活用するのが最も効率的です。
転職エージェントは適性を見るプロですので、多くのファームの求人を比較しながら最も合うところを提案してくれます。
具体的な転職エージェントや、その選び方を別記事にて整理しているので、ぜひお読みください。
入社後:選択と集中で1つ突き抜ける
入社後、全てのギャップを一気に埋めるのは大変ですので、何か1つで良いので自分の得意領域を磨く事が大事です。
適性を見極めてフィットしやすい企業に入ったとしても、求められる期待値と実力のギャップは残ります。
その時に全体を伸ばすと時間がいくらあっても足りず、結局「使えない」となります。ならば、他は全然使えなくても「ここだけは使える」という武器を身につけるのが最優先です。
例えば、現実世界の現場データを足で稼ぐことを磨くのも1つです。
生成AIは凄まじいですが、あくまでインターネットで手に入る情報を元にして考えています。
一方、現実世界の現場データを集めてくることは、そもそもAIではできないです。
そして、現場データを得るには顧客との人間関係も大事になるので、対人スキルや社内力学の理解といった中途ならではの強みが活きやすいのもポイントです。
まとめ:「使えない中途コンサル」から「使える中途コンサル」へ
この記事のまとめです。
- 顧客要求の高まり、期待値ギャップ、猶予期間の短さから中途コンサルは「使えない」と評されがち。
- 〇〇だから使えない、という単純な図式はあまりない。
- 使えないから詰められる・クビになることはない。
- 自分に最も合う求人を見つける事が重要。転職エージェントの活用が効率的。
- 入社後は選択と集中。1つで良いから「ここは使える」武器を早く作る事が大事。
入社難易度が高いだけでなく、入社後の方がはるかに大変なコンサル。しかし、その分短期間で成長しますし、その後のキャリアの幅も広がります。
興味がある方はぜひチャレンジください。
もちろんコンサルだけがハイクラス転職先ではありません。他の業界や業種が気になる方は、コンサル以外にも強みがある転職エージェントの活用を検討すると良いでしょう。



最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ転職の海図をブックマークいただけると嬉しいです。