高級派遣コンサルにならないために:コンサルファームの選び方・働き方

  • 「コンサルは高級派遣」ってたまに聞くけど、そもそもどういう意味?
  • コンサル転職したいけど、高級派遣と呼ばれてしまう理由が気になる
  • 高級派遣と呼ばれないために、どうしたら良いか知りたい

コンサルに興味を持って調べていると、コンサルへの様々な評価を聞きますよね。

様々なコンサルへの評価の中でも「コンサルは高級派遣」という表現は、どこか小馬鹿にされていると感じて、気になる方も多いと思います。

この記事のポイント

  • コンサルが高級派遣と呼ばれるのは、価値と価格の不釣り合いから。
  • 常駐型だから、ITコンサル・総合コンサルだから、といった形式的な特徴で即ち高級派遣になるわけではない。
  • 高級派遣と呼ばれるコンサルは、基本的にネガティブ評価。ポジティブな面も0ではないが限定的。
  • 高級派遣にならないために個人でできることは、作業に逃げずに付加価値を出す意識を持つこと。
  • コンサルファームによっては、個人で高級派遣化を防げない時もあるので、ファーム選びも重要。

この記事では、新卒で外資系戦略コンサルに入社し、その後日系大手メーカーにてコンサルへ業務委託もしている筆者が、実体験も踏まえてコンサルが高級派遣と呼ばれてしまう実態を解説します。ぜひ最後までお読みください。

目次

コンサルが高級派遣と呼ばれる理由と背景

コンサルが高級派遣と呼ばれるのは、価値と金額の不釣り合いが要因

コンサルが高級派遣と呼ばれるのは、コンサルの価値と金額が不釣り合いの時です。良い意味で使われることは、ほぼありません。

厳密な「高級派遣」の定義があるわけではなく、顧客先に常駐する形態が「派遣社員っぽい」ところから生まれた表現です。

もちろん常駐であってもコンサルとして価値を出していれば問題ないのですが、価値が出てなければ単価が高いことも相まって高級派遣と呼ばれてしまいます

そのため、派遣の方の仕事に比べて専門性が高い仕事をコンサルがしていたとしても、期待値以下であれば高級派遣と呼ばれる可能性は十分あります。

必要とされるコンサルと「いらない」と言われるコンサルの違いは別記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてお読みください。

コンサルと通常の派遣との違い:本来は全くの別物

常駐するコンサルが「派遣っぽい」ことから高級派遣という表現は生まれていますが、従来の意味での派遣と本来は全くの別物です。

いわゆる一般的に言われる派遣は「労働者派遣法」に則って派遣されています。

ポイントは指揮系統。

労働者派遣において、派遣元A社から派遣されるBさん(いわゆる派遣社員)へ、派遣先C社の社員から具体的な業務指示を出すことが可能です。

一方、コンサルと顧客との関係は基本的に業務委託。業務委託において、細かい作業指示などを顧客から業務受託者(すなわちコンサルタント)へ出すことは法的にはNGです。

もちろん顧客とコミュニケーションをしなければコンサルプロジェクトはできないので、当然顧客との会話はします。

しかし、顧客はあくまで特定の目的に沿った専門業務をコンサルにアウトソースしているのであって、その業務の遂行方法や、作業進捗の管理をすることは顧客の仕事ではありません。

目的やゴールは顧客がコンサルに伝えるものの、その方法はコンサルが考えるイメージですね。

常駐しているコンサルに対して、クライアント企業の社員が自身の部下ように「この作業を追加でやってほしい」「依頼した作業、終わっている?」などとコミュニケーション取ることは本来はNGなのです。

実態は指揮系統が曖昧で派遣っぽくなりがち

法的にはNGであっても、顧客からコンサルへの作業指示が0ではないのが実態です。

背景としては、顧客ニーズが戦略立案系から実行支援系にまで広がり、実行支援系のプロジェクトが増えていることも一つの大きな要因です。

実行支援系のプロジェクトでは常駐型になることも少なくありません。その方がコミュニケーション効率がいいからです。

しかし、一緒に活動をしていると、顧客からコンサルへの具体的な指示が飛ぶこともあります。

例えば、顧客側の若手の作業が遅くて、顧客の部長が見かねてコンサルタントへ顧客スタッフの作業までやってほしいと伝えるケース。コンサルタント側も、「まぁ簡単な作業だし良いか」と指示を受けてしまうこともあるのです。

若手コンサルタントの場合は、自分より年配の部長からの依頼はなおさら断りづらいですし、その場では感謝されるので、ついつい受けてしまいがちな背景もあります。

中には人手不足を解消するためにコンサルを雇う顧客もいます。本来はNGなのをわかっているのか、本当に知らないのか不明ですが、コンサルなのに派遣っぽい扱いになることが現実には起こりうるのです。

よくある誤解:ITコンサル・総合コンサルだからといって”高級派遣”ではない

ここで、よくある高級派遣コンサルに関する質問を解説したいと思います。

ITコンサルや総合コンサルだと高級派遣になるの?

いいえ、ITコンサルや総合コンサルだから即ち高級派遣ではありません。

確かに常駐型になりやすいコンサル形態ですし、顧客とのコミュニケーションが多いのは事実です。

適切な線引きをしていなければ作業を振られてしまうリスクはありますが、だからと言って「ITコンサル・総合コンサル=高級派遣」というロジックは成り立ちません。

人月単価契約しているから高級派遣になるの?

いいえ、人月単価での契約をすれば高級派遣になるわけではありません。

シンプルに「派遣っぽく」感じられるだけです。実際のコンサルティングプロジェクトは準委任型の業務委託が大半で、その金額の算定ロジックは必要工数×人月単価です。

「人月単価だから高級派遣」と呼んでいたら全て高級派遣になってしまいます。

PMO案件だと高級派遣になるの?

いいえ、PMOだから高級派遣になるわけではありません。

PMO案件だと調整やスケジュール・タスク管理といった仕事が多くなり、作業っぽく見えることから「価値が出ていないのではないか?」と気になる場合もあるかもしれません。

しかし、PMOできちんと価値を出そうと思えばいくらでも出しようがありますし、むしろ難易度が高い役割でもあります。価値が出ていれば高級派遣ではありません。

常駐型だから高級派遣になるの?

いいえ、常駐型だからといって全員が高級派遣になるわけではありません。

常駐型の場合、顧客と席を並べることもあるため、ぱっと見の派遣っぽさがあるのは事実です。顧客側も勘違いしがちな雰囲気がありますが、明確に役割の線引きをして、コンサルとして価値を発揮すれば高級派遣ではありません。

むしろ非常駐型であっても、価値が発揮できていなければ「高級文具」「パワポ職人」など呼ばれることがあります。常駐・非常駐は関係ないのです。

思考停止して見かけで判断するのではなく、案件の進め方の実態まできちんと見極めることが重要です。

コンサルが高級派遣となることへの評価

コンサルが高級派遣になるのはネガティブな状態

言葉の雰囲気から感じ取られるように、コンサルが高級派遣と呼ばれている時はネガティブな状態です。

顧客にとってもネガティブですし、働いているコンサルタント本人にとっても良い状態とは言えないでしょう。

まずは顧客の立場から。

冒頭、提供価値と費用が見合っていないことを述べたように、コンサルに求めているのは素早い作業ではありません。あくまで問題解決のために雇っています

また、上位職の立場から見ても、部下たちが自分の仕事をせずにコンサルに丸投げして楽するために雇っているわけではないのです。

コンサル本人の立場に立っても高級派遣の状態はよろしくないです。

高級派遣と呼ばれている状態は、コンサル本人にとってはほとんど負荷がかかっていない状態であることが多いです。

あくまで作業要員として動いている状態であり、スキルアップにはなかなか繋がりません

結果、コンサルタント本人の働くモチベーションが下がってしまいます。誰も幸せにならないことが多いのです。

高級派遣コンサルへのポジティブな意見も0ではない

もちろん物事は捉え方次第でポジティブにとれるので、コンサルの高級派遣化に対してポジティブな声も0ではありません

顧客の立場から見た場合、急成長事業や新規事業でなかなか社員をアサインできない時に、一気にある程度のスキルを持ったコンサルタントを揃えられるのは労働力確保の観点からは嬉しいでしょう。

ただし、その際に明確に何をお願いするかを定義しなければ、どこかで「何のために雇っているんだっけ?」となりかねません

コンサルフィーは安くないので、ROIが必ずどこかで求められます。

コンサルファームの立場から見た場合、未経験コンサルのアサイン先としてや、コンサル費用を安くする方法として、高級派遣をメリットとして捉えるファームがないわけではありません。

コンサルタント本人から見た場合も、プレッシャーが少ない環境で働きたいと持っている人にとってはポジティブにかもしれません。

しかし職業倫理としてそれらがあるべき姿か?と言われると疑問ですし、中長期的に見るとデメリットの方が大きいです。

暫定的・限定的な局面でのみ致し方なく、というのが高級派遣が許容される現実的なラインだと考えています。

コンサルで高級派遣にならないためにできること

個人でできることは、作業に逃げず、付加価値を出すこと

コンサルで高級派遣にならずに働くために個人でできることは、コンサルタントとして出すべき付加価値にフォーカスすることです。

出すべき付加価値とは、顧客の問題解決です。すべては「顧客の問題を解決しているか?」につきます。

作業はあくまで、問題解決の手段です。この時に作業をして満足してしまってはいけないのです。

膨大な単純作業をするときも、何かしらの目的があって初めて価値が出てきます。

「自分がどのような付加価値を顧客に提供しているのか?」を絶えず自問して行動することが重要です。

付加価値を意識していれば、単純な作業代行はそこまで付加価値が高くないことがわかるでしょう。

コンサルファーム次第では、個人ではどうしようもない時も

個人で付加価値を出すことを意識していても、ファームの案件の取り方や仕事の振り方が高級派遣的な場合、個人の意識だけでは限界なこともあります。

自分が許容できるラインを超えて、ファームの仕事自体に疑問がある場合は、ファームを変えるのも1つの方法です。

高いプロ意識を持って顧客に付加価値を提供しようとしている姿勢は、それを求めているコンサルファームにとっては非常に魅力的に映るはずです。

ファーム選びが重要になりますが、実態を知るにはコンサル特化の転職エージェントに聞くことが確実です。

コンサル特化の転職エージェントは数多くのコンサルファームを横並びで比較できる稀有な存在です。多くの転職社を送り込んでおり、ファームの内情をかなり詳しく知っています。

今すぐ転職する気がなくても無料で相談に乗ってくれるので、活用しないのは勿体無いです。

コンサル特化エージェントの選び方を別記事で詳しく解説しているので、ぜひお読みください。

すでにコンサルで高級派遣となっている場合の対応

自分の振る舞い起因であれば、今日から姿勢を正す

すでにコンサルタントとして働いていて「自分、高級派遣かも…」と思った方は、それが個人起因なのか、ファーム起因なのか、考えると良いです。

個人起因の場合、前の章に記載の通り、付加価値を出すことを意識してみてください。

何の作業をしているのか、目的意識を持つだけでも変わってきます。

他にも付加価値の出し方は様々なやり方がありますが、ひとつは現場理解を高めることです。

現場を知ることの重要性や体験談を別記事にまとめているので、ぜひお読み下さい。

コンサルファーム起因であれば、会社を変えることも必要

高級派遣となっている要因が、コンサルファーム起因の場合、個人の力では限界があるためファームを変える必要があります。

ファームを変える場合、コンサル特化の転職エージェントがおすすめです。コンサル特化であれば、今自分がいるコンサルファームと他のファームの違いを詳しく比較してアドバイスをしてくれます。

今すぐ転職しなくても無料で相談に乗ってくれますので、まずは登録して情報収集するのも良いでしょう。

コンサル特化のエージェントの選び方は別記事にて詳しく解説しているので、ぜひお読み下さい。

もし「コンサル自体をもうやめて別の業界にしようかな」と思っている場合もあるでしょう。

コンサル以外も関心がある場合、コンサル転職を中心としながらも他のハイクラス転職先への支援も豊富な転職エージェント(コンサル中心の転職エージェント)への相談がおすすめです。

「高級派遣にならないぞ!」と高いプロ意識を持っている方であれば、他の業界でも活躍できるでしょう。

コンサル中心の転職エージェントの選び方も、別記事にて解説しているので、ぜひお読み下さい。

コンサルが高級派遣と呼ばれる理由や評価、対応方法を総括!

最後に、この記事のまとめです。

この記事の総括

  • コンサルが高級派遣と呼ばれるのは、価値と価格の不釣り合いから。
  • 形式的な特徴で即ち高級派遣になるわけではない。常駐、ITコンサル・総合コンサル、PMO案件だから高級派遣ということはない。
  • 高級派遣と呼ばれるコンサルは、基本的にネガティブ評価。
    • 顧客にとってもコンサルを雇う意味がない。
    • 働くコンサルタントもスキルアップに繋がらず、モチベーション低下に。
  • 高級派遣のポジティブな面も0ではないが限定的。
    • あくまで顧客も暫定的・限定的な範囲での労働力確保として。
    • コンサル側も顧客の限定的な状況を理解して正しい職業倫理の範囲で。
  • 高級派遣にならないために個人でできることは、作業に逃げずに付加価値を出す意識を持つこと。
  • コンサルファームによっては、個人で高級派遣化を防げない時もあるので、ファーム選びも重要。
  • ファームを選ぶときは、コンサル特化転職エージェントや、コンサルを中心としながら他にも強みがあるコンサル中心転職エージェントの活用がおすすめ

最後までお読みいただきありがとうございました。
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