- そもそもアベイラブル中は何するの?期間や給料、評価はどうなるの?
- なぜアベイラブルになってしまうのだろう?自分のキャリアは大丈夫かな…
- アベイラブル中で暇。どうしたらいい?
アベイラブルとはプロジェクトにアサインされていない状態のこと。
せっかくコンサルに入社してもアベイラブルではプロジェクト経験を積みづらいですし、同僚に比べて遅れてしまう感じもあって不安ですよね。

私自身、新卒で外資系戦略コンサルに入社してからアベイラブルの存在を知り、漠然とした不安を感じました。
この記事のポイント
- ほとんどのアベイラブルは会社側の問題。あまり気にしなくてよい
- ただし、個人として絶対に注意すべきアベイラブルが1つある
この記事では新卒で外資系戦略コンサルに入社し、アベイラブルも複数回経験している筆者が、コンサルにおけるアベイラブルの実態を解説します。ぜひ最後までお読みください。


そもそもアベイラブルって何?


定義:プロジェクトにアサインされていない状態
改めてアベイラブルの定義は「プロジェクトにアサインされていない状態」です。
アベイラブルという呼び方を略して「アベる」「アベっている」などと使うこともあります。
ファームによってはアベイラブルではなく、「ビーチ」と言うケースもあります。
アベイラブルはコンサルタントであれば誰でも発生しうる状態です。優秀な人であってもアベることがあります。
「追い出し部屋」や「PIP(Performance Improvement Program)」と混同される方もいますが、意味が異なりますので、ご注意ください。
アベイラブルの過ごし方:仕事をしなくていいわけではない
アベイラブルはプロジェクトにアサインされていないだけで、仕事がお休みではありません。
勘違いしている方が時々いますが、アベイラブルは有給休暇ではないのです。
アベイラブル中は、社内活動に勤しむことがほとんどです。
具体的な社内活動は、提案活動(BD(Business Development)と呼ばれます)や研修、社内プロジェクトへの参画などがあります。



私も入社して最初の1ヶ月は提案活動のためのリサーチをしていました。
多くの場合、上司の指示のもと活動をすることになります。もちろん自分からやりたいことに手を挙げるのもOKです。
社内活動は業務ですので、通常のプロジェクトのコードとは別のコードを渡されて、それに自身の稼働実績をつけます。
なお、基本的にアベイラブル中の活動はクライアント仕事ではないので、残業せずに定時に終わります。
アベイラブルの期間:1週間~1ヶ月程度が大半
アベイラブル期間は、1回あたり1週間〜1ヶ月程度に収まることが大半です。
なぜなら、稼働率をどれだけ上げるか(すなわちアベイラブルをどれだけ減らすか)が重要なKPIであり、管理職サイドがアベイラブル期間をできるだけ短くなるように調整するからです。



コンサルのビジネスモデルは売上=人月単価×稼働率ですので、売上に直結する重要なKPIですね。
アベイラブル期間中は顧客に請求できないので、稼働率=0%となります。
一方、数ヶ月連続でアベイラブルであったり、1回あたりの期間が短くても年に何回もアベイラブルになったりしていいる場合は、何かしらの問題があると考えられます。
必ずしも個人だけの問題ではないので、後ほど詳しく解説します。
アベイラブルでの給料:固定給は不変。残業代は基本なし
アベイラブル期間中、ベースの給料は不変です。
そもそもコンサルティングファームの場合、年俸制をとっていることがほとんどですので、アベイラブルだからベース給が変わることはありません。
ただし、アベイラブル期間中は残業しないのが基本ですので、プロジェクト期間中に比べて残業代分の給料が下がります。
マネジャー未満の場合、しっかり残業代をつけているプロジェクトであれば、かなりの残業代を貰っています。
そのため、アベイラブルで残業代がなくなると、「今月は収入が少ないなぁ」と感じる方もいるでしょう。
アベイラブルでの評価:普通に評価対象になる
アベイラブルの期間中であっても、評価の対象です。稼働率と活動実績の2つが基本的な評価の対象になります。
まずは稼働率について。
コンサルティングファームの売上は単価と稼働率で決まりますので、稼働率があまりにも低いと評価や昇進に影響してきます。
ただし、マネジャー未満の場合、アベイラブルは個人要因だけでなく会社要因が大半ですので、稼働率が低いから即マイナス評価ということはあり得ません。ご安心ください。
次に活動実績について。
アベイラブル期間中であっても、社内活動をしていますので、その期間中の成果は評価されます。
特に提案活動では、リサーチや資料作成を行うことが大半ですので、そのアウトプット品質を見られています。
その提案活動を通じて自身のパフォーマンスをマネジャーに認めてもらえて、それからはずっとそのマネジャーのプロジェクトに呼ばれることもあります。



私自身、アベイラブル中に入っていたマネジャーに気に入ってもらえて、その後は案件に継続的に呼ばれるようになりました。
アベイラブルだからといって手を抜かず、「どこかで誰かが見てくれている」と思って真面目に仕事をすることが次につながるでしょう。
なぜアベイラブルは発生する?|良いアベイラブルと悪いアベイラブル


コンサルティングファームにおいて、稼働率は重要なKPI。稼働率100%になるべく近づけるべく管理職以上は苦心します。
それでも稼働していない=アベイラブルが発生してしまうのは、大きくは分けて次の5つのパターンあります。
- プロジェクト開始日までの空白
- あえて休ませる期間
- 案件数と人数のバランス不一致
- 本人との様々なミスマッチ
- マネジャーから避けられている
①〜④は本人の問題というより会社側の問題です。スタッフレベルであれば気にすることはありません。



私自身このタイプのアベイラブルを何度も経験しましたが、通常より早く昇進もできています。
一方、⑤だけは明らかに本人側の問題が大きいので、注意が必要になります。
順番に見ていきましょう。
①プロジェクト開始日までの空白
1つ目のアベイラブルは「プロジェクト開始日までの空白」です。
理想はプロジェクトの終了とともに切れ目なく次のプロジェクトにアサインされることです。
しかし、プロジェクトの開始日は顧客側の都合との調整で決まるため、空白が発生することがあるのです。
きちんと顧客の担当者と日程を握っていたとしても、稟議がそもそも遅かったり、書類不備で差し戻されたり等で契約締結できずに、開始日が後ろ倒しになることもあります。
この場合、本来アサインが決まっていたとしても、プロジェクトが始まるまではアベイラブルとなります。
もちろんパートナーやマネジャーは空白を作らないように顧客に働きかけますし、余裕を持って行動しますが、空白を完全に0にすることはなかなか難しいのが実情です。
②あえて休ませる期間
2つ目のアベイラブルは「あえて休ませる期間」です。
どんなに優秀な人材であっても、日々高いプレッシャーに晒されて連日遅くまで働いていれば、いずれ体調を崩してしまいます。
いくら本人が「大丈夫」と言っても、上司の目から見て「この働き方ではマズイ。潰れる」と判断すれば、あえて少し休ませる意味でアベイラブルにすることがあります。
前のプロジェクトが穏やかであっても、次にアサインするプロジェクトが長期であったり、難易度が高かったりすることが予想される場合、英気を養ってもらう意味でアベイラブルにすることもあります。
高いバリューを発揮し続けることがプロの仕事です。
ファーム全体として顧客に価値提供するために、アベイラブルという手段を取ることもあるのです。
③案件数と人数のバランス不一致
3つ目のアベイラブルは「案件数と人数のバランス不一致」です。
いくら個人で優秀なコンサルタントあっても、ファームとして案件がなければアベイラブルになります。
背景にあるのは、コンサルのビジネスモデルです。
コンサルティングは人月ビジネスであるため、需要がある前提において、コンサルタントをどれだけ揃えられるか?で事業の成長が決まります。
しかし、今後の成長に向けて採用をしたとしても、当然案件がすぐに自動で増えるわけではないです。
案件を獲得できる見込みを立てていても、競合に負けて取れないケースもあるでしょう。
コンサルティング業界自体が成長しているとはいえ、競合となるコンサルティング会社も増えているため、個別企業で見たときには案件と人数のバランスが崩れているケースもあるのです。
④本人との様々なミスマッチ
4つ目のアベイラブルは「本人との様々なミスマッチ」です。
案件数と人数がバランスしていたとしても、案件に対してコンサルタント本人の経験やスキルが不十分な場合には、アベイラブルになります。
なお、経験やスキルが足りないといっても、あくまで「そのプロジェクトに対して不足している」ということ。
別のプロジェクトであれば十分活躍できる場合、アベイラブルになるのは本人の能力の問題ではありません。
また、中途入社のコンサルタントが元々いた会社がクライアントの場合、クライアントからアサインを断られるケースもあります。



「わざわざ高いカネ払って、元社員を使いたくない」という理由ですね。
ミスマッチによるアベイラブルは、本人自体の問題というより、相性の問題も大きいのです。
⑤マネジャーから避けられている
5つ目のアベイラブルは「マネジャーから避けられている」です。
5つのパターンの中で唯一、個人として注意すべきアベイラブルです。
前述の通り、稼働率を上げることは重要なKPIです。
当然マネジャーやその上のパートナー、MD陣もできるだけアサインしたいと考えています。
特に上の役職の人にとって、稼働率は自身の評価にダイレクトに関わってくるKPIです。
アベイラブルを避けることが重要なKPIであり、①〜④ではない状況にも関わらずアサインされないということは、「KPIを下げてでも、アサインしたくない」「アサインするデメリットの方が大きい」ということです。
- スキルがないどころか、努力する姿勢すらない
- プライドばかり高くて、指摘を素直に受け入れられない
- うまくコミュニケーション取れず、チームに不満が溜まる・士気が下がる
など、要因は様々あります。
このパターンでアベイラブルが続いてしまう場合、評価されずに結果的に会社を自発的に去ることになります。
コンサルのアベイラブル要因別の対応や過ごし方


改めて、コンサルタントがアベイラブルになる要因は次の5つのパターンです。
- プロジェクト開始日までの空白
- あえて休ませる期間
- 案件数と人数のバランス不一致
- 本人との様々なミスマッチ
- マネジャーから避けられている
①〜④は会社側の問題な一方、⑤だけは明らかに本人側の問題が大きいです。
これらのパターンごとの対応をこの章では考えていきたいと思います。
①空白期の場合:プロジェクトの準備を
プロジェクトの開始日か予定よりも後ろにずれてしまって生まれているアベイラブルの場合、基本はプロジェクトの準備をしましょう。
アベイラブル期間は短いですし、アサインされるプロジェクトが決まっているので、そのプロジェクトのマネジャーと話し合って、やるべき活動を行うことが重要です。
アベイラブルだからと心配することは何もありません。
これから始まるプロジェクトに向けて少し余裕を持った準備ができるとポジティブに捉えてください。
②あえての休みの場合:きちんと休みを取るべし
あえて休みとしてアベイラブルになっている場合、素直に休みましょう。
本人が気づいていない負担がかかっていて休ませる場合もあるので、上司が「あえて」というならば指示に従う方が、長い目で見て価値を発揮できます。



もちろん、休むと言っても研修などの社内活動はする前提です。その上で、ゆったりと過ごすことが重要です。
これまでのプロジェクトがそこまで大変ではなく、むしろ次が過酷なプロジェクトに向けてのアベイラブルの場合も休んだ方がいいです。
どうしても次のプロジェクトに向けて準備していないと不安ならば、関連する書籍を読む等、少しだけ助走するのもアリですが、ほどほどにして大丈夫です。
③需給不一致の場合:一時的な状況ならばBDの手伝いを
そもそもの案件数が足りておらず、アベイラブルになってしまっている場合、個人の責任ではありません。
仕事が足りないので、パートナーやマネジャー陣は提案活動に奔走しているはずです。
このタイミングでアベイラブルの身であれば、提案活動(BD)の手伝いを申し出てみましょう。
今まで一緒に仕事をしたことがないマネジャーやパートナーとも仕事ができる機会でもあり、自分をアピールする場になります。
また、プロジェクトにアサインされずとも、コンサルの現場仕事ができるため、「同僚より成長が遅れてしまう」という不安の解消にもつながります。
一方、長い期間(3ヶ月〜)案件が全く取れていなくてアベイラブルの場合は、そのファームから移ることも検討してみてください。
コンサル特化の転職エージェントであれば、他のコンサルファームの案件の獲得状況もある程度知ることができます。
無料ですので、一度登録して、自分で判断するための材料を得ることをお勧めします。
コンサル特化の転職エージェントの選び方を別記事に詳しく解説しているので、ぜひお読みください。


④ミスマッチの場合:ミスマッチ内容を詳しく確認
プロジェクトの数があるにも関わらず、アベイラブルになるのであれば、ミスマッチ内容を詳しく確認してください。
- 自分がこのまま順当に成長すれば、いずれ解消されるミスマッチ
- 自分ではどうしようもないミスマッチ
この手のミスマッチであれば、それほど気にする必要がありません。
これまで通りに、与えられた仕事に真剣に取り組んでいきましょう。
一方、「通常よりも成長が遅れてしまっていることでのミスマッチ」であればやや注意です。
「あの人は、人としてはいいんだけど、如何せん仕事ができないんだよね」という状況は、非常に勿体ないです。
しかし、考え方を改めることで一気に改善するケースもあります。「避けられてしまっている」という状況でなければ、幾らでも挽回するチャンスはあります。
別記事にて解説していますので、あわせてお読みください。
⑤避けられている場合:要注意!まずは自己認識を
上述の通り、稼働率は非常に重要なKPI。
多少スキルが足らなくても、素直でやる気があって必死に頑張るのであれば、何とかアサインしようとマネジャー陣は考えます。
もちろん「仕事できないからアサインしたくない」というマネジャーもいると思いますが、全員が全員、ドライにジャッジしません。「こいつは仕事できないかもしれないけど、何とかしてやりたい」と誰かしらは思ってくれます。
それでもアベイラブルになる。
つまり、避けられてしまってアベイラブルというのは、かなり危機的な状況と言えます。
このケースの場合、まずは自分に要因があることを自覚して受け入れることが何よりも重要です。
避けられるパターンのアベイラブルになってしまう人は、自分に要因があると認められないために避けられていることが大半です。



この文章を読んで「いや、何もわかってない」とすぐ反論したくなったら、その時点で注意しましょう。
もちろん自分が要因ではないことも沢山あると思いますが、まずは一度無条件で受け入れるぐらい振り切ってください。
アベイラブル経験者のその後のキャリアは?


アベイラブルの有無とキャリアは直接は関係なし
アベイラブルになったからといって、その後のキャリアには直接影響しません。
なぜなら、どれだけ優秀な人であってもアベイラブルになるからです。
上述の通り、コンサルファームとして案件を取れていないケースだってありますし、プロジェクトが始まるまで間にアベイラブルになる場合もあります。
アベイラブルだからという理由で、すぐに「このままこのファームにいていいのかな…?」と考えてしまう必要は全くないのです。
会社要因であれば、より良い環境を求めて転職も良し
アベイラブルになったケースで、別のファームに移ることを考えても良いのは、案件が中々取れていなくてアベイラブルになるケースです。
特にマネジャー未満のジュニアの頃や、マネジャーなりたての頃は、案件が無ければどれだけ優秀な人であってもどうしようもありません。
提案活動のサポートで論点の立て方やリサーチの仕方など、学ぶことはできますが、やはりクライアントと相対することで得られる成長とは異なります。
案件がないファームに居続けてしまっては、本来得られるべき経験を得られないのです。
では案件が充実しているファームはどこか?
これを知るには、コンサル特化の転職エージェントに登録して相談するのが最も確実です。
なぜなら採用情報を扱う転職エージェントは横並びでコンサルファームの内情を比較できるからです。



案件が増えていることや今後注力していくから採用します。すなわち採用を見れば今後の方向性が見えるのです。
無料で相談できますので、是非一度登録してみください。
コンサル特化の転職エージェントの選び方は別記事で詳しく解説していますので、併せてお読みください。


避けられている場合は、要注意
マネジャー達に避けられてしまってアベイラブルの場合は注意が必要です。
なぜなら、このままでいくとコンサルでのキャリアが厳しいからです。
今いるファームでアサインされなければ、スキルや経験が積みあがらないだけでなく、稼働率が低くなるため当然評価が下がります。
昇進できなければ、在籍可能年次を超えてしまい、居続けることが難しくなるでしょう。
では他のコンサルに移れば済むのでは?と考えるかもしれませんが、それも厳しい世界が待っています。
なぜなら、どのコンサルファームでも共通して求められる基本的な部分が不十分だからです。
他ファームの採用面接で突破したところで、遅かれ早かれそのファームでも避けられる未来が待っています。
まずは今いるファームで何とか挽回できないか、自分の置かれている状況を自認することが今後のキャリアに繋がります。
コンサルでのアベイラブルを総括!
最後に、この記事のまとめです。
- アベイラブルとは、プロジェクトにアサインされていない状態。
- アベイラブルは有給ではない。提案活動や研修などの社内活動を実施する。
- アベイラブルの期間は1週間~1ヶ月程度が大半。数ヶ月を超えてくると注意。
- アベイラブルでの給料:固定給は不変。残業代は基本ないため、その分が少なく見える。
- アベイラブル中であっても普通に評価対象になる。
- アベイラブルが発生するのは5つのパターンあり。個別のパターンごとに必要な対策を。
- ①空白期の場合:プロジェクトの準備を
- ②あえての休みの場合:きちんと休みを取るべし
- ③需給不一致の場合:一時的な状況ならばBDの手伝いを
- ④ミスマッチの場合:ミスマッチ内容を詳しく確認
- ⑤避けられている場合:要注意!まずは自己認識を
- アベイラブルの有無とキャリアは直接は関係なし。
- 会社要因のアベイラブルあれば、より良い環境を求めて転職も良し。
- 避けられている場合は、自己認識を改めることが非常に大切。



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