「自分でやれば?」と言われるコンサル・言われないコンサル

  • コンサルは自信満々に提案するけど、なぜ自分でやらないのだろう?
  • 顧客に「自分でやれば?」と言われてしまうコンサルは、何が問題なのか?
  • 「自分でやれば?」と言われずに、顧客に喜ばれるコンサルになるにはどうしたらいい?

コンサルに対する疑問の1つとして、「そんなに良いなら、何故自分でやらないのだろうか?」という疑問がありますよね。

コンサルへの転職を検討している方の中にも、コンサルの立場でいる意味がピンとこず、コンサルを受けるべきか悩む方もいらっしゃるでしょう。

私は新卒で外資系戦略コンサルに入社しました。
コンサルという職業を知った当初、同様の疑問を持った記憶があります。

この記事のポイント:

  • コンサルが自身の提案を自らやらない理由は、リスク・リターンが本人にとって最適だから
  • 顧客から「自分でやれば?」と言われるコンサルは課題解決・顧客最適化・当事者意識がNG
    • 課題解決がNG:課題解決せず、コンサルが儲かるだけ
    • 顧客最適化がNG:顧客に合わせず、共通ノウハウを切り売り
    • 当事者意識がNG:どこか他人行儀や上から目線で偉そう
  • コンサルになる上で、まずは今日から始められる「当事者意識を持つこと」が重要

この記事では、コンサル・クライアント双方の立場を経験した筆者が、コンサルが自分でやらない理由や、「自分でやれば?」と顧客に言われてしまう要因を解説します。

自分でやれば?といわれずに活躍するために、転職前にできることも載せていますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

自分でやれば良い?コンサルが自分でやらない理由はリスク・リターン

コンサルをするのは、本人のリスク・リターンが合うから

コンサルの仕事を続ける理由は、コンサルのリスク・リターンのバランスが本人に合っているからです。

リターンは経済的な話だけでなく、自己実現や知的好奇心など様々な観点を含めたリターンを指しています。

「経営コンサルするなら、自分で起業すれば良くない?」という声を聞きますが、本人のリスク・リターンのバランスに合わなければ起業という選択肢になりません。

起業は当たれば大きなリターンを得られますが、当然失敗するリスクもあります。自分にとって割が合わないなら、起業しない選択をするのも本人の自由です。

もちろん、素晴らしい事業プランを思いついたり、内なる情熱が沸々と出てきたりして、コンサルをやめて起業するパターンもあります。

例えば、ラクスルの松本氏やDeNAの南場氏は、コンサル出身の起業家です。
お二人とも、コンサルに比べて大きなリスクをとった結果、コンサルでは辿り着けないほどのリターンを得ています。

結局、「起業が偉い、コンサルはダメ」というような話では一切なく、あくまでリスク・リターンのバランスが本人に合っているかどうか?がポイントです。

コンサルも、コンサルならではのリスクを取っている

リスクやリターンの話をすると「他人に口出しだけして、コンサルはリスクをとっていない」と思われがちですが、やや誤解されていると感じます。

そもそも顧客側が「コンサルはリスク取れ」と思っていないケースが大半です。コンサルに求めるリスクがあったとしても、コンサル費用を成果報酬型にする程度です。

コンサルとして役立つならば、顧客はそれで良いのです。コンサルへの顧客の期待値は、別記事にて詳しく解説しているのでぜひお読みください。

もちろん、コンサル自身もリスクは0ではなく、コンサルならではのリスクを取っています。

例えば、コンサルという仕事は、売る商材が自分自身の時間です。自身が働き続けないとお金が1円も入ってこないビジネスモデルです。成果物が低品質であれば契約を切られ、一気に収入が0になります。

コンサル業界、特に戦略系と言われるファームは残業時間も他業種に比べて多く、精神・肉体的な負担が大きいとも言えます。ひたすら考え続けることが求められるので、苦手な人にとってかなりしんどい環境です。

企業単位で見ても、大手のコンサルファームが顧客企業との合弁会社を作り、コンサル側も一定の資本を投資する例もあります。アクセンチュアは資生堂や塩野義製薬などとのJVを作っています。

後述するようにノーリスクで顧客を養分にするようなコンサルも0ではありませんが、大半のコンサルは取るべきリスクを取っているといえるでしょう。

自分でやれば?と言われるコンサルは、課題解決・顧客最適化・当事者意識がNG

コンサルの中でも「自分でやれば?」と言われるコンサルと言われないコンサル、違いはどこにあるのでしょうか?

結論、「自分でやれば?」と言われるコンサルは、課題解決・顧客最適化・当事者意識の3つがNGだと考えています。

課題解決せず、コンサルが儲かるだけのコンサルはNG ー虚業のコンサルー

1つ目の「自分でやれば?」と言われるコンサルは、「課題解決せず、コンサルだけが儲かる」コンサルです。

課題解決に何もつながらない提案や、顧客を養分にしてコンサル側がただ儲かるだけの構造に気付き、顧客は猜疑心を募らせて「そんなに言うなら自分でやれば?」と言っているのです。

もはやコンサルと呼ぶのも憚られますが、名乗れば誰でもコンサルなので、ここでは最も低いレベルのコンサルとして取り上げています。

顧客の課題を解決しないコンサルは、本当の意味で虚業ですね。

大手や有名なコンサルファームでは該当しないタイプのコンサルですが、個人コンサルでは残念ながら一定見受けられるタイプです。

昨今は副業や投資ブームなどもあり、個人がコンサルを名乗って素人相手に詐欺まがいの行為をしているケースもあります。

問題は、全員が全員、「課題解決せず、コンサルだけが儲かる」コンサルだと気付くとも限らない点です。気づいた人は「自分でやれば?」と相手にしませんが、気づけない人も一定いるので自然淘汰されないのが現状です。

犯罪でなければ規制はなかなか難しいため、顧客側のリテラシーが重要になってきます。

ノウハウを顧客最適化しないコンサルはNG ー現場を知らないコンサルー

2つ目の「自分でやれば?」と言われるコンサルは、「顧客にカスタマイズした提案をせず、ただノウハウを切り売りしている」コンサルです。

顧客最適化しないコンサルに対して顧客が「自分でやれば?」と思う時は、次のように考えています。

  • 「そんな一般論でうまくいくと思っているなら自分でやってみな。うまくいかないから。」
  • 「もっと我々顧客に合わせた提案を真面目に考えてくれ!」

もし本当にどの顧客においても共通で使えるノウハウであれば、切り売りであっても顧客は満足するでしょう。

しかし、特にビジネス関連コンサルが扱う課題は、ノウハウの切り売りで解決できるほど単純な課題ではありません。

個社ごとに置かれている状況が異なるため、必ず顧客ごとに最適化しなければいけない部分が出てきます。差別化するポイントが必ず必要になるため、共通のノウハウという概念がそもそも難しくもあります。

誰にでも当てはまるノウハウは、結局、誰にも完全にはフィットしないからこそ誰にでも当てはまるのです。

逆に顧客に合わせて最適化された提案になれば、当然コンサル自身でやることは難しく、「自分でやれば?」とは言われないでしょう。

顧客に合わせた提案に繋げる1つの方法として、顧客の現場で起きていることを参考にする方法があります。詳しくは別記事で解説しているので、あわせてお読みください。

当事者意識がないコンサルはNG ー偉そう・話し方うざいは論外ー

3つ目の「自分でやれば?」と言われるコンサルは、「当事者意識がなく、ただ考えただけ」のコンサルです。

  • 顧客の置かれている状況を踏まえて提案をしているものの、他人事のような提案
  • 他人行儀ならまだしも、なぜか上から目線や鼻につく話し方

当事者意識がないコンサルに対して顧客は苛立ち、「そんな簡単じゃねーよ。偉そうに言うなら自分でやってみろよ」という不満を持っています。

もちろん、コンサルは外部の人間です。あくまでアドバイザーで、最後に意思決定をしてリスクを取るのは顧客です。

しかし、顧客の立場からしてみると、自分たちが困っていることに対して、少なくとも自分たちと同じレベルで考えて並走してくれるパートナーを求めてコンサルに依頼しているのです。

特にコンサルに適切に依頼されるような案件は、どうすればいいかは比較的簡単にわかるものの、実行が難しくて課題となっている場合も少なくありません。実行プランを描くことと、本当に実行するのでは雲泥の差があります。

本当に大変な部分は顧客にしかできないかもしれません。しかし、コンサル自身が当事者の如く考えているのかどうかで顧客からの評価はまるで変わってくるのです。

「コンサルさん、自分でやれば?」と言われないためにできること

最後に、コンサル志望の方や、コンサルなりたての方に向けて、「自分でやれば?」と言われないためのポイントを解説します。

全ては当事者意識から始まる

全てのコンサルにとって重要なのが、当事者意識です。全ては当事者意識からスタートすると考えています。

流石に顧客を養分にしようと思う人は、この記事を読んでいないと思いますので、「自分でやれば?」と言われないためには顧客最適化と当事者意識が重要になります。

「顧客に最適化した提案を作ること」と「当事者意識を持つこと」の2つのうち、今日から始められるのが当事者意識です。

顧客に合わせた提案を作るには一定の知識やスキル、経験が必要になります。明日やれと言われても現実的に厳しいところがあります。

しかし、当事者意識はコンサル本人がどれだけ自分ごととして捉えるか?なので、スタンスの問題です。

要するに、自分がこのプロジェクトの顧客側の責任者になったつもりで行動する意識を持つのです。

【例えば、資料作成の場合】

当事者意識がなければ、顧客担当者に伝わるだけの資料を作って終わりにしてしまうかもしれません。

しかし、当事者意識があれば、他にも様々なことを考えられます。

  • 他の部署と会話するので、プロジェクトの前提知識がない人たち向けの丁寧な背景説明を入れよう
  • 現場にとって負担の大きなお願いをするから、彼らのメリットがわかりやすく伝わるようにしよう
  • この資料を後々稟議に添付するから、添付しやすいフォーマットに変えておこう ……等

どちらが価値があるかは言わずもがなでしょう。

当事者意識があれば、必然的に顧客に最適なプランを考える癖もつきます。

いきなり最適なプランを考えられるようにはなりませんが、スキルを身につけるモチベーションも湧きます。何も意識しない人に比べて、スキルを身につける時間も短くなるでしょう。

コンサルファームのカルチャーに注意

個人でコンサルをする場合は関係ありませんが、コンサルファームに入る場合は、その組織のカルチャーには注意が必要です。

当事者意識がどこまで隅々まで行き届いているか?は会社ごとのカルチャーによって異なります。

もちろん大手・有名なファームであれば、当事者意識を持つ人が多いですが、温度感に差が出てしまう部分を0にはできません。

なるべく高い当事者意識を持っている人が多いコンサルを選ぶ上で、転職前であればコンサルに特化している転職エージェントを活用することが良いでしょう。

コンサル特化の転職エージェントであれば、誰でも知っているような大手以外のコンサルの情報も持っています。コンサル各社の内情を、外部から横比較できる唯一と言っていい存在です。

特に当事者意識のようなカルチャーは、そのコンサルファーム社員に何人にも会って初めて掴めるものです。転職エージェントであれば、エージェント本人だけでなく、実際に採用された多くの転職者の情報もフル活用して、コンサルの特徴を捉えています。

コンサル転職を少しでも検討しているのであれば、無料相談して損はないでしょう。

「今すぐ転職するつもりはないんだけど…」

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もしあなたがコンサル業界に向いていないと判断されたり、現時点であなたに合う良い求人がなかったりすれば、彼らは自社の評判を守るためにも、無理な転職を勧めてくることはありません

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具体的なコンサル特化のエージェントの選び方は別記事で詳しく解説しています。データに基づいて客観的に分析しています。ぜひお読みください。

【総括】「自分でやれば?」と言われるコンサル・言われないコンサル

最後に、この記事のまとめです。

  • コンサルが自身の提案を自らやらない理由は、リスク・リターンが本人にとって最適だから
  • 顧客から「自分でやれば?」と言われるコンサルは課題解決・顧客最適化・当事者意識がNG
    • 課題解決がNG:課題解決せず、コンサルが儲かるだけ
    • 顧客最適化がNG:顧客に合わせず、共通ノウハウを切り売り
    • 当事者意識がNG:どこか他人行儀や上から目線
  • コンサルになる上で、まずは今日から始められる「当事者意識を持つこと」が重要
  • コンサルファームを受けるなら、カルチャーまで丁寧に把握すべき。把握する上で、コンサル特化エージェントの活用は有効な手段

最後までお読みいただきありがとうございました。参考になれば幸いです。

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