タイトル、本当なの?流石に嘘では?
タイトルは私の実体験で、決して嘘ではありませんが、少しカラクリがあります。
- 当時の私が行きたくて応募した外資系戦略コンサルは1社のみ。そこで採用されたので通過率100%に。
- 当時フェルミ推定本は少なく、選択肢が限られていた。大学院生で時間もカネもなかったため1冊に絞った。
戦略コンサルの有名どころを全てを受けて100%通過したわけではないですし、フェルミ推定本が増えた現在、もう少し余裕もあれば複数冊買っていたかもしれません。
とはいえ、自分なりに考えて本を選び、最小工数で行きたいコンサルに入社できた経験は、フェルミ推定本を探されている方やコンサル転職をお考えの方にも役立つ部分があると考えています。
ぜひ最後までお読みください。

結論:私が選んだフェルミ推定本1選

最初に結論です。
私が当時使っていた本は、大石哲之著『過去問で鍛える地頭力―外資系コンサルの面接試験問題』(東洋経済新報社)です。
これを一通り自分で解いてから面接に臨みました。
大学院生の当時、コンサルティングファームの採用試験を受けるにあたって、次の3つの理由からこの本を選んだことを覚えています。
- ケース面接に対応
- 外資系戦略コンサルタントによる解説
- パターン暗記ではない
もちろん、全ての本を比較検討したわけではないので、上記の条件に合う本は当時もあったかもしれません。
フェルミ推定本のバリエーションが増えた現在なら他によい本があるかもしれません。
具体的な書籍名よりも選定基準の方が重要だと思いますので、その当時考えていたことを中心にお伝えできればと思います。
フェルミ推定だけでなくケース面接にも対応
1つ目の理由は、フェルミ推定だけでなくケース面接にも対応している点です。
ケース面接とは、フェルミ推定系の問題(例:日本の電柱は何本?)に加えて、ビジネスケース系の問題(例:水族館の売上を上げるには?)を面接官とディスカッションする形式の面接です。
コンサルティングファームの採用試験はケース面接が必ずあります。
私の場合、コンサルの採用試験に通ることが目的でしたので、フェルミ推定だけでなくビジネスケース系の問題も載っている本を求めていました。
この本にはフェルミ推定系10問・ビジネスケース系10問の両方がバランスよく含まれています。
実際のコンサルの採用試験でも出題される「フェルミ推定系で解いた内容を踏まえて、ビジネスケースを解く」パターンにも対応している点もよかったポイントでした。
この本の掲載問題例
フェルミ推定系:羽田空港は1日に何人くらいの人が利用しているでしょうか?
ビジネスケース系:羽田空港の利用者数を増やすにはどうすればいいでしょうか?
「フェルミ推定系で解いた内容を踏まえて、ビジネスケースを解く」パターンを理解しやすいです。
外資系戦略コンサルタントが解答を書いている
2つ目の理由は「外資系戦略コンサルタントが問題への解答を書いている」です。
大学受験や資格試験とは異なり、フェルミ推定やビジネスケースの問題はこれという正解がありません。
様々な正解が考えられる問題に対しては、問題の答えを出すプロセスが妥当か?という観点が重要になります。

外資系戦略コンサルを受ける予定だった私は、彼らの思考プロセスを学ぶべきだと思い、この本を選びました。
巷には戦略コンサルの内定者が書いた本や、「コンサルタント」とだけ評した方が書いた本など、様々な経歴の著者の本があります。
彼らの書いた本の内容が間違っているとは言いませんが、外資系戦略コンサルタントとして実務をこなしている人の思考プロセスとは異なる部分が少なくありません。
どちらの方が面接官の考え方に近いか?は言うまでもないでしょう。
パターンを覚える系の本ではない
3つ目の理由が「パターンを覚えるタイプの本ではない」という点です。
巷のフェルミ推定本の中には、受験勉強の一問一答の如く、「このパターンを覚えれば解けます!」と謳っている本も散見されます。
一見、効率よくスキルを身につけているように思うかもしれませんが、落とし穴があります。
思考が浅くなりがちなのです。
パターンを覚えるタイプの書籍は、パターンの説明に終始しているケースが多く、「なぜそのパターンが導かれるのか?」や「他のパターンはないのか?」など深い思考が明記されていないことが大半です。
コンサルは考えることが仕事ですので、解法パターンを丸暗記してそれを杓子定規的に当てはめることは本質ではないです。
丸暗記で解けるような問題は、そもそも面接であまり出てこないですし、パターンに当てはめることは面接においてマイナスになるのでは?と当時考えていました。



実際、入社後に知ったのですが、マッキンゼーの採用マネージャーの方も同意見でした。詳しくは伊賀氏の著書『採用基準』をお読みください。
もちろんパターン化で自分の頭を整理できるなど使い方次第では有効ですが、デメリットも踏まえて私はパターン系を避けて選びました。
そもそもフェルミ推定は必要?


ここまでフェルミ推定本ありきの話をしてきましたが、改めて「そもそもフェルミ推定って必要なの?」という問いを考えたいと思います。
フェルミ推定自体が重要なのではない
フェルミ推定とは「未知の数字を、ロジックと常識をもとに推定すること」です。
フェルミ推定自体、コンサル以外も採用試験に導入している会社はあります。しかし、コンサルでのインパクトが強いこともあり、コンサル=フェルミ推定という認知が広まっていきました。
コンサル採用において、フェルミ推定で出した答えの数字の正確性よりも、そのロジックを見ていると言われることが多いです。
しかし、実際の所は必ずしもフェルミ推定のロジックが重要なわけではないです。
最低限の論理性は必要ですが、そもそも候補者が面接官より優れたロジックを組み上げることは至難の業。



面接官はマネジャー以上が担当します。
彼らにしてみれば候補者のロジックなんぞツッコミ所だらけです。
むしろ面接官が見ているのは、思考することへの適性です。
- 考えることが好きか?
- 考え続ける体力があるか?
フェルミ推定を含むケース面接を通じて、候補者の思考適性を見ているのです。
フェルミ推定はあくまでもその手段ですので、目的と手段を取り違えないことが重要でしょう。
【私の体験談】
当時の私のケース面接の回答は、今思えば恥ずかしいぐらい稚拙なロジックでした。
しかし、考えることが好きなことや、いつまでも考え続けられることが伝わって採用に至ったのだと思います。
フェルミ推定は使いこなせて損はない
スキルとしてのフェルミ推定は、コンサル含めてビジネス職に就く方であればを身につけて損はないでしょう。
なぜなら、ビジネス職は結局の所、「儲かるか?」を考える仕事で、どんな数字であっても一定のロジックで推定して議論することが求められるからです。
- この施作を実施したら、どれだけ新規顧客を獲得できるのか?
- このシステムを導入したらどれだけコスト削減できるのか?
- この制度を導入したら、どれだけ社員の行動が改善されるのか?
全てを精緻に計算できるだけの時間も情報もないことがほとんどですし、やってみなければ実際の所はわかりません。
しかしフェルミ推定を用いれば、何かしらの理屈をつけて定量化できるのです。
不確実な中で意思決定をしなければならない時に、フェルミ推定のスキルは一つの武器になります。
注意点は、フェルミ推定の使い方です。
フェルミ推定は、ロジックの組み方や数値の置き方を「議論すること」に価値があります。
フェルミ推定した数値のみを伝えたり、逆に誰かが出してきた数値だけで判断することに何も意味はありませんので、ご注意ください。
フェルミ推定本を買うべきか?


概要だけならフェルミ推定本は不要
「まずはフェルミ推定ってどんなものか知りたい」というだけであれば、無料のWeb情報だけでも十分です。
今の時代、概要や例題・解説はネットでいくらでも転がっています。
例えば「フェルミ推定 例題」「フェルミ推定 解説」など検索すればたくさんの情報が出てきます。



noteもあれば YouTubeも沢山ありますね。
他にも生成AIに対して「フェルミ推定の練習したいので問題を作って」などと言えば、レベルごとの問題を作ってくれます。
コンサルファーム自身が公式で出しているものもありますので、これらを活用するのも良いでしょう。
コンサルファームのページは、各社の重視しているポイントも把握できるので必見です。
採用試験対策ならばフェルミ推定本を買うメリットあり
「コンサル転職を目指して対策したい!」と考えるならば、フェルミ推定本を購入するメリットはあります。
フェルミ推定本を購入するメリットは品質と体系化の2点です。
1つ目のメリットの品質について。
最近こそ誰が発信しているか明示しているWeb情報も増えてきましたが、まだまだ匿名情報も多いです。
また「内容おかしくないか?」と思われるものが散見されます。有象無象のWeb世界で、自身の目利きが求められます。
一方、本であれば一定の経歴を持つ人でないと書けないですし、きちんと編集の目も入っています。
本の場合、Webに比べて内容の正しさ・妥当さという観点で、ハズレを引く可能性が遥かに低くなります。
2つ目のメリットは体系化です。
Webの場合、綺麗に情報が整理されていないことも多いです。
例えばYouTubeチャンネル。
チャンネル内の再生リストで分けられてない場合もありますし、順番がわかりにくいことも。
そして「必要な内容が網羅されているのか?」もぱっと見わかりません。



面接対策として使うにはやや心許ないですよね。
一方、きちんと書かれた本であれば、コンセプトに基づいて必要な内容が網羅されています。
本の中で著者の言いたいことは完成していますので、少なくともその本の内容の範囲であれば抜け漏れはありませんし、順番も明確です。
人生の重要イベントの1つでもある職選び。
情報不足や誤りを可能な限り減らすと言う意味で、本を買うメリットは大きいといえるでしょう。
フェルミ推定本の選び方


フェルミ推定本を選ぶ基準:受験勉強と同じ
フェルミ推定本を買おう!と決めた場合、選び方は受験勉強の参考書と同じで大丈夫です。
すなわち、一定水準の品質をクリアしているものを選べば、あとは自分との相性です。



一定水準を満たしているか否かは、著者情報やクチコミ評価を参考にすると良いでしょう。
自分との相性は、掲載されている問題を見て数分考えたのち、実際の解説を読んでみるとよくわかります。
フェルミ推定本の冊数は、1冊しっかりやれば十分だと思います。
フェルミ推定本を何冊も買うより、様々なビジネス書籍を可能な限り沢山読んでおくことをお勧めします。
フェルミ推定をするにしても、様々なビジネスモデルや戦略、オペレーションなどを知識として持っている方が当然有利だからです。
もちろんいきなりは大変ですので、関心がある領域から読み進めていくと良いでしょう。
フェルミ推定本を選ぶ具体的な手順:オンライン編・書店編
フェルミ推定本を選ぶ際のコツを簡単に解説します。
オンラインで選ぶ場合
Amazonの場合、タイトルにフェルミ推定と入っていなくても、検索アルゴリズムがしっかりしているので、検索窓に「フェルミ推定」と入れれば関連書籍はしっかり出てきます。



私の使っていた本もきちんと「フェルミ推定」で出てきました。
Amazonの中でさらに絞り込むのであれば★4以上でソートすれば、品質は一定担保されます。
Amazonの試し読みは、実際の問題と解説までは読めないことがほとんどです。
可能な限り、書店で問題と解説を読み、自分と相性がいいかを確認すると良いでしょう。
書店で選ぶ場合
在庫検索で「フェルミ推定」とやって検索するとずらっと出てきます。
フェルミ推定本は「資格・就活」「経営」「ビジネススキル」「思考法」「勉強法」「自己啓発」などのコーナーに置かれていることが多いです。
店頭でパッとタイトルを見て探す場合、「フェルミ推定」以外にも「地頭」や「ケース面接」といったキーワードが含まれている本も対象とすれば見落としが減ります。
人気な本や評価が高い本は平置きされていることが多いので、まずは平置きの本から探してみるのも良いでしょう。
フェルミ推定本の使い方


本を通じて自分なりのコツを言語化する
フェルミ推定本を購入したら、1問10分程度の時間制限を設けて、紙とペンを使って全力で解いてください。
とにかく本番だと思って答えを出すことにこだわってください。
全力で考えた後は、解説を読みます。この時、自分の考えたプロセスと、解説を見比べてみましょう。
- どうして自分はこの観点が抜けてしまったのか?
- 自分の思考の癖は何か?
- どういう頭の使い方をすれば、こういうプロセスを考えられるのか?
ひとつ一つ自問していきながら、自分なりのコツを言語化することが非常に重要です。
私の場合、「問題の状況を、映像を作るとどうなるかイメージを持つ」「足し算ではなく掛け算的に要素分解することを意識する」などと言語化していました。



上記のコツは何を言っているのか分からないと思いますが、それで良いのです。自分がわかればOKです。
大事なことは、答えを覚えることではなく、考え方を身につけることです。
フェルミ推定本で出来ないこと
自分で本を買ってみたけど、なかなかうまくいかないこともあるでしょう。
自分1人でうまくコツを掴めない場合、人からアドバイスをもらうことが最も効率的です。
コンサル特化の転職エージェントは、無料でケース面接対策をしてくれますので、ぜひ活用していきたいところです。
特にコンサル特化のエージェントであれば、数多くの候補者を様々なコンサルファームに送り込んでいるので、最新のケース面接の内容を知ることができます。
実際に出題された問題だけでなく、候補者と面接官のやり取りの情報も踏まえた対策をしてくれます。



各ファームの最新の問題や具体的なやりとりは、流石にフェルミ推定本ではカバーできないですよね。
コンサル特化の転職エージェントの選び方について別記事で詳しく解説しています。ぜひお読みください。


フェルミ推定本に関する総まとめ
最後に、この記事のまとめです。
- 次の3つ理由から大石哲之著『過去問で鍛える地頭力―外資系コンサルの面接試験問題』を選択した。
- フェルミ推定だけでなくケース面接にも対応
- 外資系戦略コンサルタントが解答を書いている
- パターンを覚える系の本ではない
- コンサル採用においてフェルミ推定そのものが重要なのではなく、あくまで思考適性を見ている。
- 採用試験対策ならば、品質担保や体系化されている点でフェルミ推定本はWebより優れている。
- フェルミ推定本の選び方は受験の参考書と同様。一定水準を満たしていれば、あとは自分との相性。
- フェルミ推定本を通じて自分なりのコツを言語化することが重要。
- もし自分1人では分からない場合は、コンサル特化の転職エージェントを活用するのもひとつの手。



最後までお読みいただきありがとうございました。