- コンサル転職に興味があるけど、虚業と呼ばれてしまったら嫌だな…
- コンサルで働いているが、自分の仕事は虚業なのか不安
コンサルに興味がある人も、実際にコンサルタントとして働いている人も、「虚業」と呼ばれるのは良い気持ちがしないですよね。

私が新卒で外資系戦略コンサルに入社した当時も「虚業」と言われる時もあり、気になった記憶があります。
この記事のポイント
- コンサル業界全体への誤解や中傷での「虚業」は気にしなくて良い
- クライアントから「中身がない」と指摘されてしまう場合は要注意
この記事では外資系戦略コンサルを経て、スタートアップ、日系大手事業会社とキャリアを経てきた筆者がコンサル当事者と外部の両方の視点から「虚業」について解説します。
ぜひ最後までお読みください。


そもそも虚業の定義は曖昧


辞書的な意味の「虚業」
「虚業」の意味を辞書で引くと「投機相場などのように、堅実でない事業。「実業」に対していう。」と出てきます。
実業の対義語を意味するとのことで、併せて「実業」も引いてみると「農業・商業・工業・水産業など、生産・販売に関わる事業。」と記載があります。
さらに深掘りして「商業」と引くと次のような意味です。
生産者と需要者の間に立って商品を売買し、利益を得ることを目的とする事業。具体的には卸売商・小売商のような商品売買業者の活動をさすが、このほかに運送業・倉庫業・金融業・保険業・広告宣伝業などを含めて広く考える立場もある。
ここまで深くみると、狭義の意味ではリアルな物を生産・販売する事業以外は「虚業」に分類されると読み取れます。
広く考える立場ならば、金融業や保険、広告宣伝などのサービス業も実業の仲間に入ります。しかしコンサルティング業が実業であるとは明言されていない状況です。
なおWikipediaには執筆時点で「虚業」の解説ページはありませんでした。
時代と共に変わる「虚業」
辞書的な意味を改めてみると、「『実際の物を扱わなければ虚業』というのは少し古い感覚なのでは?」と思った方も多いでしょう。
上述の引用元の定義がいつの時代に書かれたものか不明ですが、初版が1995年とのことですので、確かに情報が古い可能性があります。
仮に初版の頃の定義そのままと考えてみます。
当時はちょうどWindows95が爆発的な人気を誇り、インターネットがようやく広がり始まったばかり。インターネット上でこれほどビジネスが盛んになるなんて、イメージが湧かなかったのも無理がありません。
事実、今では誰もが当たり前のように感じるネットビジネスが、出始めの頃は「虚業」と呼ばれていました。



いつの時代であっても、「虚業」呼ばわりされてしまうビジネスは存在するのですね。
「コンサルは虚業」批判の2つの側面
ではコンサル業界がこれほど人気を博している中で、「虚業」と呼ばれるのはどのような理由からでしょうか?
経験上、「コンサルは虚業」と批判される背景は、大きく次の2つです。
- 業界への誤解と中傷
- 中身がないコンサルへの不満
前者はこれまでの時代にもあったであろう、業界全般に対する誤解や中傷です。後者は業界全般というより個別のコンサルと仕事をして感じる批判です。
前者は気にしなくて良いですが、後者は注意する必要があります。
順番に解説していきます。
「コンサルは虚業」批判①:業界への誤解と中傷


コンサルは虚業と言われる背景は、業界への誤解と中傷がその大半です。
多く場合、次の3つの要素が絡み合って「コンサルって虚業だよね」との心無い批判につながっています。
- 頭脳労働のへの根源的な不信
- 高収入や社会的評価への嫉妬
- コンサル業務に対する理解不足
虚業と言われてしまうのは悲しいですが、誤解や中傷は無視しましょう。



期待して仕事を依頼してくれるクライアントに向き合うことが大事です。
頭脳労働のへの根源的な不信
コンサル業界への誤解と中傷の1つ目は「頭脳労働のへの根源的な不信」です。
「労働とは汗水垂らしてするもの」という価値観が、批判の背景にはあると感じられます。
名言こそされませんが、いわゆる現場仕事が労働であるという価値観で、涼しいオフィスでPCパチパチしているような仕事は労働ではない、という価値観です。
もちろん価値観なので人それぞれあって良いですし、自らの仕事を選ぶ際の基準として使う分には全く問題ありません。
しかし、だからと言って他人の仕事を「虚業」と評することは、褒められたものではないです。
頭脳労働であっても、顧客に価値提供して対価をいただけるのであれば、立派な労働です。
もし「頭脳労働だから虚業」という批判を受けたのであれば、無視して問題ないでしょう。
高収入や高い社会的評価への嫉妬
コンサル業界への誤解と中傷の2つ目は「高収入や高い社会的評価への嫉妬」です。
コンサルティング業界の平均年収は確かに高いです。
東洋経済新報社の『「会社四季報」業界地図 2025年版』によれば、全業界平均年収が660万円に対し、コンサルティング業界の平均年収は1,008万円。
コンサル業界以上の平均年収を期待できる業界は、M&A助言・仲介か、総合商社しかありません。
そして社会的評価も高くなってきています。
東大生の就職先ランキング上位にはコンサルティング企業が多く含まれますし、ビジネス雑誌の特集や関連書籍の多さなどからも社会的注目が非常に高い業界といえます。
高収入や社会的評価が高い場合、残念ながら嫉妬の矛先になります。
しかし、あくまで嫉妬起因の「虚業」批判ですので、真面目に受け取る必要はありません。
コンサル業務に対する理解不足
コンサル業界への誤解と中傷の3つ目は「コンサル業務に対する理解不足」です。
頭脳労働であればコンサル以外にも多くの仕事がありますし、年収や地位が高い職業はコンサル以外にもあります。
それでも「コンサルって虚業だよね」と批判を受けてしまうのは、コンサル業務への理解が不足しているからです。
「そもそもいい提案ならば自分でやればいいじゃん。なんでやらないの?」や「コンサルが思いつくことって顧客はすでに知っているよ。不要では?」等、コンサル業務に関する理解不足からつながる虚業批判は数多くあります。
しかし、虚業批判している人の大半はコンサル業務を具体的に知らないですし、コンサルに仕事を発注したこともないです。イメージで語っているに過ぎません。



虚業と言われるのは悲しいですが、無視するのが一番です。
「自分でやれば?」や「不要では?」というコンサル批判について詳しく知りたい方は、別記事をぜひお読みください。




「コンサルは虚業」批判②:中身がないコンサルへの不満


“虚”業への批判
「コンサルって虚業だよね」という批判の中には、無視できない批判があります。
それは中身がないことを指摘しているケースです。



「虚業」には「虚」という文字が含まれていることからもわかるように、「中身がない」というニュアンスがあります。
冒頭の辞書での定義に記載した通り、「実際の物がない」という意味での「虚」もありますが、昨今では「アウトプットに中身がない」ということから「虚業」と批判されていると考えられます。
「実際の物が無いから」といった辞書的な意味や、誤解や中傷による批判であれば気にする必要がありません。
しかし、コンサルの仕事内容を見た上で「中身がない=虚業」と評されているのであれば、真摯に向き合う必要があるでしょう。
「コンサルは虚業」の本質は中身のなさ
ではコンサルが虚業=中身がない状態とは、どのような状況でしょうか?
「中身がない」とは、実はコンサルの成果物の内容の問題だけでなく、コンサルの外見と成果物の内容が釣り合っていない状態から生まれています。
なぜこのような不釣り合いが生じているのか?
それは、外見と内容の成熟期間のギャップが要因です。
すなわち、コンサルの外見は簡単に「それっぽく」なるのですが、コンサルティングの中身自体を磨くのにはかなりの時間を要してしまうのです。
中身がない場合、顧客に対して価値提供できていないだけでなく、外見が“できる風”な分、よりタチが悪いです。



この場合において、「虚業」と批判されてしまっても致し方ない部分があります。
しかし、中身がない=虚業と言われずに活躍できることは可能です。別記事で詳しく解説しているので、ぜひあわせてお読みください。


「コンサルって虚業かも」と自ら感じてしまったら


「コンサルって虚業なのかも」と自ら感じてしまった場合、その状況によって対応方法は異なります。
まだコンサルとして働いていない場合
コンサルに興味がありつつ、まだコンサルとして働いていない場合、おそらく「コンサルは虚業」と見聞きして不安になっているのでしょう。
しかし、ご安心ください。
この記事で書いてきている通り、大半は言われもない批判なのです。
もちろん、中身がないコンサルになってしまい顧客から批判されているケースもあります。
まだコンサルとして働いていないのであれば、顧客評価が高いコンサルファームを選ぶことで、「コンサルは虚業」と言われるケースを回避できます。
評価が高いコンサルファームを選ぶ上では、コンサル特化の転職エージェントを活用することが有効です。
コンサル特化エージェントは数多くのコンサルファームへ転職者を送り込んでおり、内情を詳しく把握しています。加えて、各ファームの違いも横並びで比較できる点も優れています。



彼らは無料で相談に乗ってくれますので、少しでも転職に興味があれば登録すると良いでしょう。
具体的なエージェントの選び方を別記事で詳しく解説します。ぜひお読みください。


すでにコンサルとして働いている場合
すでにコンサルタントとして働いている場合、「自分がやっていることは虚業なのでは?」と感じてしまうこともあるでしょう。
経験上、顧客に対して価値が出せていない時に「虚業なのかも」と感じることが多いです。
虚業かも?と感じたならば、まずは次の5つに該当していないか、チェックしましょう。
- 解くべき問いに答えていない
- 一般的な答えしか言わない
- ロジック・ファクトの詰めが甘い
- 言葉の解像度が荒い
- コンサル内で連携できていない
詳しくは別記事で解説していますので、ぜひあわせてお読みください。


「コンサルは虚業」を総括!
最後に、この記事のまとめです。
- 「コンサルは虚業」批判には2つの側面がある。
- 批判①:業界への誤解と中傷
- 批判②:中身がないコンサルへの不満
- 業界への誤解や中傷の背景は「頭脳労働への根源的な不信」や「高収入や高い社会的評価への嫉妬」、「コンサル業務に対する理解不足」。気にしなくて良い。
- 一方、中身がないコンサルへの不満は要注意。顧客に価値提供できていないだけでなく、外見とのミスマッチもあり、顧客に不満が溜まっている状況。
- 「コンサルって虚業かも」と自ら感じてしまった場合、まだコンサルとして働いていなのであれば、気にする必要はない。
- すでにコンサルとして働いていて、「虚業かも」と感じるのであれば、次のいずれかが不十分のため、見直すべし。
- 解くべき問いに答えていない
- 一般的な答えしか言わない
- ロジック・ファクトの詰めが甘い
- 言葉の解像度が荒い
- コンサル内で連携できていない



最後までお読みいただきありがとうございました。