- コンサル業界に転職したいけれど、「コンサルは現場を知らない」「口だけで役に立たない」といった厳しい声も耳にする。
- もし自分がクライアントからそう思われてしまったら…。
- コンサル未経験で新人の自分が、本当に価値を提供できるようになるのだろうか?
コンサル業界への転職を考えているあなたは、このようなネガティブな評判を見聞きする機会が増え、不安を感じているのではないでしょうか?クライアントの現場担当者に信頼されなければ仕事は進めづらく、成果も評価も得られないかもしれません。そうなっては、コンサル転職自体をためらってしまうのも無理はないでしょう。
そのようなあなたに向けて、この記事では「現場を知らない」「役に立たない」と言われずに活躍するための具体的なポイントを、コンサルタント・クライアント両方の立場を経験した私の実体験を交えながら徹底解説します。

私は新卒で外資系戦略コンサルティングファームに入社し、その後転職したスタートアップでもコンサルタントとして案件獲得から案件推進まで幅広く経験してきました。
現在は日系大手メーカーに勤務し、大手から中小まで様々なコンサルティングファームに仕事を依頼しています。
この記事を読めば、あなたの転職前の不安が一つ解消され、コンサル業界で活躍するための具体的なイメージが湧いてくるはずです。
ぜひ最後までお読みいただき、コンサルタントとしての一歩を踏み出すためのヒントを見つけてください。
「コンサルなんて現場を知らない」と言われてしまう3つの理由
コンサルタントが「現場を知らない」「中身がない」と評されてしまう背景には、主に「業界・業種」「個別企業」「クライアント個人」という3つの観点での理解不足が考えられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
理由①:業界・業種への理解不足


まず、対象となる業界・業種特有の知識が不足しているケースです。
解説本や専門誌を読めば基本的な知識は得られますが、実務レベルになると、書籍には書かれていない「暗黙知」や「現場の常識」が山のように存在します。これらを理解していないと、コミュニケーションの第一歩でつまずき、中身がないと見なされかねません。



私のコンサル時代のとある案件では、「はんしゃ」という言葉が「反社(反社会的勢力の略)」を指すことが一般的でした。
しかし、現職のメーカーでは同じ「はんしゃ」でも「販社(販売会社の略)」として使われることがほとんどです。
これは非常に単純な例ですが、このレベルの知識不足も数多くありました。
暗黙知や常識を知らなければコンサルタントとして全く価値が出せない、ということは流石にないですが、暗黙知や常識があまりにも欠けていると、「このコンサルタントは何も分かっていないな」という印象を与えてしまう可能性があります。
理由②:個別企業への理解不足


次に、業界や業種について理解していても、個別の企業への理解が浅いパターンです。
同じ業界に属していても、企業ごとに戦略や組織、業務フロー、社風などが当然大きく異なります。一見すると非合理に見えることをしている場合もあります。
ただ、その「一見非合理に見えること」こそが企業の競争優位性を生み出している場合もあるのです。
本当に価値があるのは、クライアント企業の戦略や業務フロー、さらには組織内の力関係といった目に見えにくい部分まで深く理解した上での提案。
クライアントがわざわざコンサルに頼むのは、一般論ではなく自分たちだけにカスタマイズされた提案が欲しいからです。クライアントのユニークさを理解していないと、「うちには役に立たないね」となってしまいます。
理由③:クライアント個人への理解不足


最後に、クライアントの担当者個人に対する理解不足です。
クライアント企業の課題を解決するのがコンサルティングの仕事ですが、提案したり議論する相手はクライアント内の担当者個人です。負っているミッションや、プロジェクトへのモチベーション、社内のパワーバランスなど、企業の中の立ち位置は担当者によって異なります。
特にジュニアの頃は、目の前の具体的な調査や分析に手いっぱいで忘れがちですが、その調査や分析はクライアント担当者に動いてもらうためのものです。その時に担当者の置かれている状況まで理解しているかどうかで、アウトプットの質が大きく変わってきます。



新卒当時、上司から「君の資料をクライアントの〇〇さんがどう使うか想像して書いているか?」と問われ、ハッとした覚えがあります。
例えば、クライアント担当者がそのテーマに詳しい場合、冗長になりすぎないようにテーマ説明を省くべきでしょう。しかし、忙しい担当者がプロジェクトを経て全然関係ない別部署に掛け合う必要があるならば、テーマ説明まで用意が必要になるかもしれません。そのような細かいところまで理解して気を使えるかどうかで、クライアントからの評価が変わってくるものです。
「コンサルなんて現場を知らない」と言われずに顧客に喜ばれる方法
時間の許す限り、まずは現場に出向く


ここまで読むと、「コンサルタントになるには、とてつもない量のインプットや細やかな配慮が必要なのでは…」と圧倒されてしまうかもしれません。
もちろん、自ら積極的に情報を収集し、知識を深める努力は不可欠です。インターネット検索だけでなく、専門書を読み込んだり、時には国会図書館に足を運んで古い雑誌を調べたりすることもあるでしょう。クライアント担当者の置かれている状況についても、あの手この手で把握していくことが価値につながります。
ただ、全てを並行してレベルアップするには、時間がいくらあっても足りません。ここは選択と集中が必要になります。ではどこから手をつけるのが最も良いか?
様々な意見があると思いますが、「時間の許す限り、まずは現場に出向く」のが良い、と私は考えています。
ポイントは2つあります。
- ただ現場に出向くのではなく、「優先度を上げて時間の許す限り出向く」こと
- 特に最初の頃は、あれこれ調べたり考えたりしすぎずに「まずは出向く」こと
これに関して、私の経験したエピソードを1つお話ししたいと思います。
【体験談】現場へ出向いたことが、未経験業界の案件獲得につながる


私は新卒で入社した外資系戦略コンサルを辞めた後、スタートアップへ転職しました。その会社は自社プロダクトも作りつつ受託開発も行っています。私は受託開発の案件を得るためのフックとしてコンサルティングを行う担当でした。
当時、大企業向けのコンサル案件獲得ために動いていた私は、新規で獲得したいと考えていた企業がありました。その企業は、とある消費者向けの商品を全国の実店舗で販売する大手企業です。
私はこれまでに小売業界も、その商品も、コンサル時代に経験したことがなく、完全な素人でした。狙っていた企業が取り扱っていた商品に関して参考となる書籍もあまりなく、簡単に調べられる情報は限られていました。
さてどうしたものか。私は、まず一人の顧客として、その企業の店舗に実際に足を運んでみることに。当然この時点では知識はほぼ0です。何か提案につながるような仮説があったわけでもありません。
その代わり、実際に接客を体験し、店内の様子や実際の業務フローを注意深く観察しました。すると、いくつか気になる点が意外と見えてきたのです。他の店舗も同じなのでは?そう気になった私は、別の店舗もこっそりと見に行くことにしました。案の定、この店舗も同じような課題を抱えていることが判明しました。
この時点で得たわずかな情報を元に課題仮説を整理し、その大手企業に提案。こちらは素人、平穏を保ちながらプレゼンしましたが内心ドキドキです。
結果は、リアルな現場の状況を踏まえた提案を、短期間で行った点を非常に評価していただき、無事、店舗改革戦略の案件を獲得することができました。
その後も、戦略立案に留まらず、具体的な施策の要件定義、システム導入支援、そして現場スタッフへのトレーニングといった実行支援まで、一気通貫でご支援させていただく機会に恵まれました。
より活躍するために転職前にできること
「時間の許す限り、まずは現場に出向く」は新卒・中途関係なく、価値を発揮しやすい方法だと私は考えています。
とはいえ、先述の通り、業界・業種の知見や個別企業に関する理解が多ければ多いほど、現場を理解して活躍しやすいのは間違いないです。特に中途の方は、すでに実務経験があるので、これを生かさない手はないです。
「自分は今までコンサルとか関係ない仕事をしてきた。活かせるところなんて無いのでは?」
そう考えるのはまだ早いです。
例えば、日系大手の縦割りの実態、新卒当時の私は言葉としては知っていたものの、そこから付随する調整の大変さなど肌感がありませんでした。コンサルとして提案する時に、その調整まで含めて話せばスムーズに事が進められることもあったでしょう。
役に立たないと思えばそれまでですが、経験やスキルを活かすも殺すもあなた次第です。
あなたの経験やスキルをコンサルタントとして活かすには、次の2つが重要だと考えています。
- 自分の経験やスキルのうち、何がコンサルティング業務において価値となるのか、客観的に把握すること。
- その価値を求めている(つまり、そうした案件を多く扱っている)コンサルティングファームがどこなのかを把握すること。
残念ながらこの2つは、自分だけで把握することが非常に難しいです。
なぜなら、自分自身を客観的に評価することの難しさに加え、各コンサルティングファームが現在どのような案件に注力しているかといった最新の内部情報は、外部からはなかなか知り得ないからです。たとえファーム内部に知人がいたとしても、その人が組織全体の状況を正確に把握しているとは限りませんし、具体的な案件内容は守秘義務によって固く守られています。
これを打破するには、コンサル業界に強い転職エージェントを活用するのが最も効率が良いと考えています。
彼らは、求職者を企業に入社させることで収益を得るビジネスモデルであるため、あなたの価値を的確に見極め、成功確率の高いマッチングを実現することに全力を尽くしてくれます。
「今すぐ転職するつもりはないんだけど…」という方もご安心ください。転職エージェントは、キャリア相談だけでも快く応じてくれます。もしあなたがコンサル業界に向いていないと判断されたり、現時点であなたに合う良い求人がなかったりすれば、彼らは自社の評判を守るためにも、無理な転職を勧めてくることはありません。
「転職する気がないなら、面談やコンサル案件の紹介を丁寧にしてもらえないのでは?」という懸念もあるかと思いますが、心配には及びません。キャリア面談や求人紹介をしないと、彼らも向き不向きが判断できないので、登録した時点でサポートしてくれます。
もちろん、転職エージェントの登録からキャリア相談、面接対策といった一連のサポートは無料で利用できます。
もし関心があれば、コンサルを含むハイクラス転職向けの転職エージェントを65個を比較しているので、あわせてお読みください。

