「コンサルをやめてよかった」と心から思うためにすべきこと5選

  • コンサルの働き方をある程度覚悟していたが、想像以上にキツくてつらい…。
  • 辞めたらワークライフバランスが改善することはわかっている。でも行動できない。
  • 今の環境が自分に合わない気がする。いつまで続けるべきなのだろうか。

コンサルファームの働き方をある程度覚悟していたつもりでも、想像以上のハードワークに辛さを感じ「限界かもしれない」と日々悩んでいる方も多いと思います。

ハードワークはこなせたとしても、実行フェーズをできないもどかしさや、専門性が身につかないのではと不安を感じる場合もあるでしょう。

一方、コンサルをやめれば改善することがわかっていても、「ここで辞めてしまっていいのだろうか?」と、なかなか次の一歩を踏み出せない心境も良くわかります。

私は外資系戦略コンサル→スタートアップ→日系大手メーカーと転職してきました。転職のたびに悩んだのを覚えています。

そこでこの記事では、コンサルを辞めるべきか悩んでいる時に、考えるべき5つの観点を解説します。

具体的には、次の5つの感情に対して、自分に正直に答えてみることが重要です。

この記事のポイント:次の感情に向き合う

  • コンサルで得られるはずのことを、得られない不安
  • 転職活動自体や、将来のキャリアへの不安
  • 辞めること自体の恥ずかしさや悔しさ
  • まだ頑張れるのでは?という自分への期待
  • 変化すること自体への不安や面倒臭さ

この記事を読むことで、コンサルを辞めるか否か、納得した答えを自分で出せるようになります。

その結果コンサルを辞めたとしても、「コンサルをやめてよかった」と自信を持って心から思えるようになるはずです。

実体験も織り交ぜながら解説しています。ぜひ最後までお読みください。

辞める・辞めないは、もちろんどちらも正解です。
「自分で納得して答えを出す」ということが大事だと私は考えています。そのヒントになれば幸いです。

目次

「コンサルをやめてよかった」よく聞く3つの理由を解説【体験談付き】

向き合うべき5つの感情の解説に入る前に、よく聞く「コンサルをやめてよかった」理由について一度整理します。

一般的に「コンサルをやめてよかった」と言われる理由は、次の3つに集約されることが多いでしょう。

  • 労働負荷の減少
  • 専門性の獲得
  • ”やりがい”の実感

上記3つはYesなこともありますが、注意点もあります。実体験も含めながら1つずつ解説していきます。

よく言われる理由は、上記3つの他に「健康的になった」「家族と一緒に過ごせるようになった」「趣味に打ち込めるようになった」など様々あります。
多くの場合、労働負荷軽減で生まれた時間によるものです。派生的な内容のため、ここでは解説を割愛します。

理由①:労働負荷の減少

1つ目は、「労働負荷の減少」です。

労働負荷も「長時間働くこと」と「高いプレッシャーで働くこと」の2つに分けられ、コンサルはその両方があるために激務と言われがちです。

コンサルティングという仕事の性質上、高いフィーの代わりに高品質なアウトプットを求められます。答えのない問題に取り組むことも多いので終わる時間を読みづらく、必然的に長時間x高密度な労働になりがちです。

加えて「高いプレッシャーこそが人を成長させる」という考え方がベースにあるコンサルファームが多いため、成長しても、その時々の職位や期待値に合わせて労働負荷が上がり続ける構造になっています。

コンサルをやめて時間と質のどちらか1つ、または両方を解消できるような仕事に就けば、確かに労働負荷を減らせるでしょう。

一方、コンサル以外であってもハードな状況は幾らでも存在します。会社単位ではなく、部署や職種レベルで、労働時間や労働の性質を把握することが重要です。

【私の体験談】

  • スタートアップに転職後、コンサル時代のようにキレキレの上司に理詰めされるプレッシャーは無くなりました。
  • 一方、スタートアップで大企業向けのコンサルをしていたため、「アウトプット品質を高めなければ仕事が取れない」状況に直面。
  • コンサル時代には経験していなかったプレッシャーで、苦労したのを覚えています。

理由②:専門性の獲得

2つ目は、「専門性の獲得」です。

プロジェクトをいくつか経験した程度だと、顧客が変わったりテーマが変わったりするため、「専門性が身についていないのでは?」と不安になる場合があります。

事業会社に就職した人は、その会社の業界・業種にどっぷりと浸かっています。事業会社の人が語る仕事のエピソードは具体性もあり、業種ならではの専門的な内容も多いので、聞く度に焦る気持ちもわかります。

しかし、コンサルタントいう仕事自体、本来は特定領域のスペシャリストのはずです。スペシャリスト集団だからこそ価値を出せて、コンサルティング産業がここまで大きく発展してきています。

磨いていけばコンサルティング領域の専門性が身に付きます。特にマネジャー以上は、自身の専門性を必ず持っています。いや、持っていなければ、基本的にマネジャーになれないでしょう。

結局の所、「身に着けたい専門性は何か?」が大事です。

専門性の獲得そのものは、コンサルを辞める理由にならないと私は考えています。

コンサルティングの専門性に興味がない場合のみ、「他の職種に転職して専門性が身についてよかった」となります。

【私の体験談】

  • 私自身、コンサル時代も含めて「新規事業開発」をキャリアの主軸にしてきました。
  • 事業開発において、コンサルで身に着けた基礎スキルが今でも非常に役立っていると感じます。
  • 一方、コンサルにいた当時、「戦略だけでなく営業や財務、人事など、多くの要素をイメージしながら事業開発できるようになりたい」と考えて、スタートアップに転職しました。
  • スタートアップへの転職によって、幅広いビジネス領域の実務を手探りながらも経験できたことが、大きな財産になっています。

理由③:”やりがい”の実感

3つ目は、「”やりがい”の実感」です。

やりがいというとやや抽象的ですので、ここでは「自分の仕事に意味や価値を感じる主観的感情」とします。

紐解いていくと、様々な声が聞こえてきます。

  • 「コンサルはあくまでアドバイザー。提言だけでなく、実行部分まで自分でやりたい」
  • 「最終的なエンドユーザの顔が見えづらい。転職して、ユーザの生の声を聞けて嬉しい」
  • 「スライドを書くだけの仕事から、手触り感のある仕事をできるようになりたい」

これらの善し悪しは、他人がどうこう言う話ではないと私は考えています。

やりがいは仕事に意味を感じるかどうかの「主観的な」感情です。全く同じ仕事だとしても、やりがいを感じる人とそうでない人がいます。

よく例に出される「3人のレンガ職人」ですね。

主観的な感情ですので大事にしたい一方、考え方1つでやりがいは変わる不安定さもあります。

例えば、「最終的な意思決定に携われない」という点。

確かに意思決定の権利は顧客にあります。

しかし、その意思決定をするためにコンサルは雇われているのです。「意思決定に携われない=価値を発揮できていない」とも言えます

どうしたら意思決定に役立つ仕事をできるか?という考え方で日々取り組めば、ただのエクセル分析1つでも、やりがいを充分感じることもできるでしょう。

長時間労働x高いプレッシャーで疲れていると、ネガティブに物事をとらえてしまうこともあります。

本当にやりがいを感じられないのか?考え方1つで変わらないか?改めて自分に問いかけてみることが大事です。

「コンサルをやめてよかった」と心から思うために向き合うべき5つの感情

これまで巷でよく言われる「コンサルをやめてよかった理由」を解説してきました。

これら3つのやめてよかった理由は、注意点はありつつも、ある程度理解・共感できる内容だと思います。

しかし、それでも「本当にやめていいのだろうか?」と悩むのは、この3つ以外に考えるべきことがあるからです。

悩む理由は、向き合うべき5つの感情にあると考えています。

向き合うべき5つの感情

  • コンサルで得られるはずのことを、得られない不安
  • 転職活動自体や、将来のキャリアへの不安
  • 辞めること自体の恥ずかしさや悔しさ
  • まだ頑張れるのでは?という自分への期待
  • 変化すること自体への不安や面倒臭さ

5つ全てがある人もいれば、1、2個だけ当てはまる人もいると思います。多くの方はこの5つの感情のいずれかに答えを出せていないため悩むのです。

この記事では、5つの感情を具体的に見ていきたいと思います。

フワッと考えては答えは出てこないです。

感情を具体的に分解・イメージして、自分自身はどう思っているのか?を1つずつ考えるためのヒントを提供できればと思います。

コンサルで得られるはずのことを、得られない不安

1つ目は、「コンサルで得られるはずのことを、得られない不安」です。

特に成長できる環境、高い年収、特定の年次/職位までいた経歴を得られない不安が多いでしょう。

ここで考えたいのは、次の点です。

本当にコンサルに居続けないと得られないのだろうか?

順番に見ていきたいと思います。

成長できる環境?

確かにコンサルは成長しやすい環境です。

上述の通り、各ファームは日々プレッシャーをかけて社員の成長を促し、優秀であればどんどん昇進させようとします。この環境で頑張ることで、急成長が期待できます。

しかし、成長できるかどうかは、結局のところ自分の努力次第です。

コンサルにいた方が半強制的に努力せざるを得ない状況に追い込めるメリットがありますが、努力しなければ成長できません

そして、大事なことは、ここで得られる成長は健康を害して得るものでは決してないです。つぶれてしまっては元も子もありません。

つぶれないギリギリのラインで努力し続けられないのであれば、無理に居続けたとしても成長は難しいでしょう。

むしろ、自分のペースで長く続けられる方が、結果的には成長できます。

高年収が得られる?

コンサルティング業界の平均年収は確かに高いです。

東洋経済新報社の『「会社四季報」業界地図 2025年版』によれば、コンサルティング業界の平均年収は1,008万円。これ以上の平均年収を期待できる業界は、M&A助言・仲介か、総合商社しかありません。

業界平均で見ればコンサルティングは高年収ですが、個別の企業や役職で見ればコンサルより高い年収が幾らでも出てきます。

例えば、『「会社四季報」業界地図 2025年版』記載の企業別年収ランキング上位50社で、コンサルティングに分類される企業は5社しかありません。このランキングに載っていない高年収の企業も世の中には数多くあります。

今の時代、1つの会社の給料だけでなく、副業という選択肢も考えられます。残業時間がほぼない会社に転職し、浮いた時間は副業で稼げるように頑張る、という戦略も取り得るのです。

コンサル時代の経歴が重要?

コンサルにいた、というのは確かに分かりやすい経歴になります。

転職時に「外資戦略コンサルでマネジャーまでやりました」とでも言えば、それだけでも一定水準の高いスキルやプロフェッショナリズムを持っているという第一印象を与えることができるでしょう。

しかし、コンサルの在籍だけで価値になるほど単純ではないことは、少し冷静に考えればわかります。

なぜならコンサル出身者は世の中にごまんといるからです。マネジャークラスであっても探せば沢山いますし、最年少昇進マネジャーなど上には上がいます。

採用する側が何を求めているのかを正しく認識しましょう。

具体的に採用側のニーズを認識するには、コンサル転職をウリとしつつ、それ以外の業界にも強い転職エージェントに相談するのが手っ取り早いです。彼らはコンサル業界もよく知っていますので、悩みポイントも理解してくれます。

すぐに転職する意思がなくてもエージェントは無料で相談に乗ってくれるので、ぜひ有効活用しましょう。

転職活動自体や、将来のキャリアへの不安

2つ目は、「転職活動自体や、将来のキャリアへの不安」です。

  • 「今辞めてしまっては、どの企業も取ってくれないのでは?」
  • 「仮に転職できたとしても、再び挫折してしまったらどうしよう?」

コンサルでなかなか活躍できず苦しんでいる場合、思考がネガティブになりがちで、将来への期待を持ちづらいのもよくわかります。

ここで、次の問いを少しだけ考えてみてください。

他人が同じ内容で相談してきたら、自分ならば何と答えるか?

多くの方は、「やってみなければわからないのでは?」と答えるはずです。

しかし、いざ自分の立場になると、不思議と不安になります。

それは転職活動をした結果、面接に落ちるなどで本来負わなくていいはずのダメージを負ってしまう怖さがあるからです。できたら避けたいですよね。

「やってみなければわからない。でもやるのは怖い」をどう解決したらよいのか?

最も簡単なのが、転職エージェントと面談してフィードバックをもらう、です。企業に応募する前に、シンプルに相談をすれば良いのです。

適切なエージェントを選べば、彼らもプロですので、企業に応募せずとも、将来どうなりそうか教えてくれます。

この際、エージェント選びが重要です。世の中には多くの転職エージェントがありますので、その中から実績や評判が豊富なところを選びたいところです。

選び方やおすすめエージェントを、別記事にてまとめています。

全1.8万文字で、他のどのサイトよりも詳しく整理・分析していますので、ぜひご覧ください。

補足:「転職エージェントに登録したら、応募まで進んでしまうのでは?」

転職エージェントに登録するとそのまま応募させられてしまうのでは?と心配される方もいますが、通常そのようなことはあり得ないです。

なぜなら、転職エージェントは求人を出す企業からお金をもらうビジネスだからです。

無意味に応募して企業からの評判が落ちるのは最も避けたいのは自明でしょう。彼らにメリットがありません。

もちろん、世の中には微妙なエージェントもいるのは事実であるため、完全に0とは言えません。

しかし、適切なエージェントを選べば、その心配はないでしょう。

選び方は、ぜひ別記事をお読みください。

辞めること自体の恥ずかしさや悔しさ

3つ目は、「コンサルを辞めること自体の恥ずかしさや悔しさ」です。

  • 「仕事ができなかったやつ」と周囲に思われそうで恥ずかしい
  • 残った同期が自分よりもスキルアップし、昇進していくのが悔しい
  • 頑張って入社して今日までやってきた自分の努力が否定されてしまう気がする

恥ずかしさや悔しさを否定する必要は全くありません。

むしろ、恥ずかしさや悔しさといった感情があることに目を向けることが、次に進む上で重要です。

その上で自分に問いかけてみて欲しいのです。

この恥ずかしさや悔しさは、未来永劫続くと考えられるか?

人生振り返ってみれば、たいてい何かしらの挫折体験があるはずです。その時の挫折で感じた恥ずかしさや悔しさを、今でも同じレベルで抱えて悩んでいる方がどれほどいるでしょうか?

もちろん思い出したくない過去もあるでしょう。

しかし、当時の経験を前向きに捉えて、その後の人生に活かしている方が多いと思います。

コンサルを辞めるときに感じる恥ずかしさや悔しさも同じです。

コンサル時代に活躍で来てないからとって、ダメ認定されて将来の仕事に影響することは、ほぼあり得ないでしょう。転職先に知られることもまずありません。影響が出るほどダメだったら、そもそも採用されていません。

コンサル時代の同僚とは、会わなければよいだけです。わざわざ何かを言ってくるほどの余裕は彼らにはありません。

自分の気持ちとの折り合いは残りますが、逆に自分の考え方次第で如何様にもなります。今この瞬間はへこみますが、いずれ忘れるので、ご安心ください。

まだ頑張れるのでは?という自分への期待

4つ目は、「まだ頑張れるのでは?という自分への期待」です。

せっかく狭き門をくぐって入社できたのだから、辞めてしまうのは勿体ないのでは?という気持ちもあると思います。

コンサルに入社できる人は、高い倍率をくぐり抜けています。
グローバル全体でマッキンゼーは約0.6%の採用率、EYは約2.6%という採用率であり、そもそも入社できない人がほとんどです。

頑張る気力があるのであれば、辞めずにチャレンジするのもよいと思います。

別記事で考え方を詳しく解説していますので、ぜひお読みください。

変化すること自体への不安や面倒臭さ

最後は、「変化すること自体への不安や面倒臭さ」です。

これまでの4つの感情とは少し性質が異なります。これはどの仕事に就いていても起こる感情です。

人は変化することを基本的には嫌う生き物です。変化は負荷がかかるので、「現状を維持しよう」という働きがかかります。今回のような心理的な働きは、「現状維持バイアス」や「心理的ホメオスタシス」と言われます。

昔から様々な研究がなされており、至極自然な反応ですが、分かりやすい理由がないため不安になります。

「人は新しい選択肢より“今のまま”に2~5倍の価値を置く」(Samuelson & Zeckhauser, 1988
「キャリア文脈では 3 人に 1 人が“何もしない”を選ぶ」(Hesketh, 1996
(※筆者訳)

その上で、この感情を乗り越えるには、具体的に「いつになったら何をする」を決めてしまうのが良いです。

「〇月〇日までに転職サイトに登録して、求人を10件調べる」や「△月△日までにエージェントに登録して、まずは面談まで行う」など具体的に決めてしまうのです。

特にエージェントに登録する場合、担当者と面談日程を決めるので、半強制的に行動に移すことができます

エージェントの選び方は別記事にて、全1.8万文字で徹底的に解説していますので、是非ご覧ください。

【総括】「コンサルをやめてよかった」と心から思うには

最後に、この記事の総括を載せます。

  • コンサルをやめてよかったと言われる一般的な理由は概ね次の3つ。
    • 理由①:労働負荷の減少
    • 理由②:専門性の獲得
    • 理由③:”やりがい”の実感
  • この3つの理由は全面的にYesとは言えない所もあるので注意点が必要。
  • やめてよかったと思うために大切なのは、自分の中の5つの感情に正直に答えること。
    • コンサルで得られるはずのことを、得られない不安
    • 転職活動自体や、将来のキャリアへの不安
    • 辞めること自体の恥ずかしさや悔しさ
    • まだ頑張れるのでは?という自分への期待
    • 変化すること自体への不安や面倒臭さ
  • 考え方を少し変えることや、具体的な行動にすぐに落とし込むことで5つの感情に向き合うと良い。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ご参考になれば幸いです。

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